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「ストロングスタイル」の継承とプロレスへの思い
――先日、男色ディーノ選手(DDT)とのYouTubeコラボで「ストロングスタイル」について語られていましたね。
永田:「あいつには負けない」という生存競争、ハードな練習の中で俺の方が強いと競い合い、時には練習で1本決められて、次は決められないような技術を学ぶとか、そういう上昇志向がストロングスタイルだと思います。長年この業界でやってきた自分なりの結論ですね。
元々はアントニオ猪木さんが、ジャイアント馬場さん率いる全日本プロレスに対抗するために生み出したものです。全日本にはテレビ局や海外の強豪外国人選手とのルートがありましたが、新日本は何にもなかったんです。
その中でできることは、道場でひたすら練習すること。血反吐を吐くような練習で相手を制し、腕を取る、首を絞める、足を決める。みんなそうやって死に物狂いで自信をつけたんです。
猪木さんが生前言われた「ボロを着てても心は錦」という、どんなに強豪外国人やテレビ局があろうと俺たちは絶対負けないんだっていう志のもとで作り上げられたのが、新日本プロレスのストロングスタイルです。
そこにアメリカンスタイルやショーマンスタイルの要素も加わり、自然と自分たちの「ストロングスタイル」になったんだと思います。
ところが時代は変わり、新日本の知名度や人気が上がって全日本を上回った時、「ストロングスタイル」は団体内の選手同士のライバル意識に変化しました。だから長州力さんと藤波辰爾さん、小林邦昭さんとタイガーマスクの抗争が生まれたんです。
「あいつには負けない」という気持ちで競い合ったからこそ、ストロングスタイルは伝統として広まり、変化していったのだと僕は思ってます。