
G1落選の屈辱、引退危機を乗り越えたタイチ。地元凱旋大会とIWGP王座への覚悟に迫る
常に「誰もやっていないこと」に挑み続けるタイチの「唯一無二」の哲学。その象徴とも言える異色のYouTube活動。第3回では、昨年(2024年)のG1クライマックスでのまさかの落選が彼にもたらした「引退」の危機、そしてその悔しさから芽生えた「若手の壁になる」というベテランとしての覚悟に迫る。全てをかけて成功させたいと語る地元・石狩市の中学校での凱旋大会への熱い決意、そして「親方肌」と自認する彼のIWGP世界ヘビー級王座への想いをお届けします。(取材/大楽聡詞 文/ミライカ 文中敬称略)
レスラー×ゲーム実況:誰もやらない「唯一無二」への挑戦
――2022年にゲーム実況チャンネルを立ち上げられました。レスラーがゲーム実況というのは斬新ですが、そのきっかけは?
タイチ:もともとゲームが好きで、趣味で毎日やってたんだ。その頃、他のゲーム実況者の配信をラジオ感覚で流しながら同じゲームをやっていて。ある時ふと気づいちまった。
「ちょっと待てよ。このくらいのしゃべりでいいなら、俺にもできるぞ」と。同じ時間を使うなら、自分が実況した方が絶対面白いと思ったし、レスラーでやってる人もいなかった。
昔から“誰もやっていないことをやる”のが大好きなんだ。だから入場で歌も歌うし、試合途中でパンタロンも脱ぐ。ナンバーワンになれないなら、オンリーワンになろうと。棚橋弘至やオカダ・カズチカにはなれないけど、だったら彼らができないことをやろうと考えたね。
――団体からは反対されませんでしたか?
タイチ:最初は大変だったよ。でも俺は「いいからやらせてくれよ。生配信ならあなたたちの手間もないでしょ?」って交渉した。やり方だけ教えてもらって、自宅にセットを組んで毎日配信。
やってみたら反響が大きく、メンバーシップも始めたら大好評。会社も驚いているよ。
――今ではコミュニティも作り、ファンイベントも開催されています。
タイチ:ありがたいことに、ぼちぼちやらせてもらってる。この間は新木場1stRINGを借り切ってYouTubeチャンネルのファンイベントをやった。他団体の人やインディーの選手たちだって、新木場で大会をやるのは大変なのに、試合もしないのにファンが集まってくれた。いいコミュニティを作れたと思ってる。