【シダックス 梅沢直充】「チームと一緒になって戦っている」という感覚がやり甲斐になっていた(第一回)

――プレイヤーとして未練はなかったのですか?

梅沢:全くなかったですね。それだけレベルが高かった。それで3日目の練習終わりで「今、1年生にマネジャーはいるの?オレ、なろうと思うんだけど…」と同期に話しました。すると彼らは「いないよ!同期でマネジャー欲しいんだよ、ウメちゃんやってくれよ!」と狂喜乱舞。すぐに選手寮に連れていかれ、ユニフォームのまま和泉貴樹監督に直訴しました。監督は「よし、1年のマネジャーは梅沢に決めよう!」と。ほぼ即決でした。和泉監督はすでに見抜いていたんですね。

――ところで「マネジャー」ってどんなことをするのですか?

梅沢:ヒト、モノ、カネ、スケジュールの管理。要はチームにおける管理運営のすべてです。

――僕の勝手なマネジャー像は、山ほどあるユニフォームを洗濯するイメージです。

梅沢:スポ根青春ドラマみたいな感じですよね。全然違います(苦笑)。練習や試合などグラウンドの現場のことや新人選手のスカウトなど、競技に直結する分野はもちろん監督やコーチが行いますが、それ以外のことをほとんど担うのがマネジャーの役割になります。

――勝手な思い込みでした、すみません(苦笑)。ところでどのくらいの人数を管理するのですか?

梅沢:まず「ヒト」の部分ですね。当時、日大は部員が100人近くいて、その全員を管理していました。寮に約60名、通いの選手が約40名。マネジャーは選手一人ひとりの親代わりみたいなものです。全国から親元離れて選手寮や下宿先で生活する。選手がケガや病気をしたら病院に連れて行ったり、単位の取得状況、生活態度、野球部内での人間関係、彼女と上手くいっているか(笑)などを把握したり。「モノ」は、用具の発注、在庫管理、修繕など。「カネ」は運営費の金銭管理、予算と実績の管理。「スケジュール」は試合・練習・キャンプなどの日程調整など。

また、それらにすべて「渉外」「危機管理」「トラブル処理」などの能力や、「バランス感覚」などのセンスが必要になってくる。

――まるで会社の経営者みたいですね。

梅沢:人事部長、総務部長、経理財務部長、すべて兼務みたいな(苦笑)。

マネジャーも1年や2年の低学年と、3年や4年の高学年だと役割も変わります。低学年は選手のフォローや下積みが中心になりますが、高学年になると部全体を取り仕切るディレクターみたいな立場となり、また監督付きとして監督の車を運転していました。

――その免許は、いつ取得するのですか。

梅沢:1年生の時、選手寮の隣にあった教習所で免許を取りました。最初は用具車の運転から始まります。それで運転に慣れて、高学年になると監督の車の運転。当時の鈴木博識監督はモスグリーンのセドリックでした。

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