中嶋千尋プロの指導は技術だけでなく、人間力アップやフィジカルも重要視
約10年ぶりの復活優勝を果たしたものの、体調不良の根本的な解決には至らず、引退の危機に直面した中嶋千尋。しかし、ある出会いによってマインドセット(考え方)を刷新し、彼女は「不死身のゾンビ」として再び立ち上がります。#5では、身体の限界から生まれた、練習量を最小限に抑えながら勝つというタブーへの挑戦。その工夫が実を結び、38歳でツアー2勝。そして40歳で自己ベスト更新という驚異的な結果につながった舞台裏とは?指導者としての中嶋千尋は単なるゴルフのスキルアップのコーチではなく、人生に生きる思考を、ゴルフを通して伝える教育者のように見える。ゴルフのスキルにおいても本質を掴む彼女の洞察力にも迫る。(文中敬称略)
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◼️練習量を最小限に、工夫を凝らし2勝、40歳でベストスコア更新
――肉体的な限界を感じ、練習量を最小限に抑えるという大胆な決断をされました。それは、従来のスポーツ選手の常識から見るとタブーとも言える選択です。どのように工夫して、最小限の練習で試合に臨む自信を作り出したのでしょうか?
中嶋:身体的にもう限界、引退がよぎった瞬間、「こうなったら、いかに練習せずに勝つかに挑む」という最後の手段が閃きました。スポーツ選手としてはタブーへのチャレンジです。「誰よりもやってきた」という自信が大事な場面で生きるバックボーン。練習を最小限にするというのは、選手にとっては非常に怖いことでもあります。
具体的には、打球は20球に限定。ショートゲームも感覚がつかめたら即終了するようにしていたので、練習はあっという間に終わります。真っ暗になるまで練習している選手たちを横目に、真昼間にホテルに戻り、身体のケアをして早めの夕食で21時には就寝していました。
少ない練習量で「どうしたら自信をもってスタートホールに立てるのか?」を工夫しました。段々と「これならいけるかな?」と試したものが積みあがっていき、一年後にシードを取り戻すことが出来ました。
