中嶋千尋プロの紆余曲折・波瀾万丈なゴルフ人生とは…
――人間完璧ではありませんから(苦笑)。それにしても0点のテストを見て両親が乾杯した光景も驚きです。
中嶋:「大器晩成」なんて言葉はわからなかったけど、両親の表情や語調から、「なんだか私はドンドンよくなるんだ!」とウキウキしたのを覚えています。だから、最悪の状況なのに、めちゃくちゃ良いことが起きているような感覚ですね。おかげで未来が楽しみでならなかったです。
――そのポジティブな姿勢は、ご両親から自然に受け継がれたものだったのですね。
中嶋:両親は他の子と比較したことがありませんでした。何もできない私を、ありのまま受け入れてくれたからこそ、愛情をものすごく感じていました。
ある時、小学校の道徳の授業で「両親にしてもらって嬉しかったこと」というテーマがあったのですが、私は「叱ってくれること」と発表したんです。
すると周りのみんなが静まり返り、先生も固まりました。私は「変なことを言ってしまった」と恥ずかしくなって赤面しました。でも、のちのち振り返ってみると、すでに幼い頃から、両親が叱ることは、私のために言ってくれている「ありがたいこと」だと分かっていたんです。
――潜在意識の中で、ご両親の愛を理解していたんですね。
中嶋:両親に叱られるのは「命に関わること」「人を傷つけること」、そして「挨拶しないこと」。以上の3つだけでした。それ以外は放任主義で、失敗して転んだら、自分で立ち上がる、またチャレンジするという繰り返しでした。
その3つ以外は全部受け入れてくれていたので、叱ってくれることは自分の為とわかっていたんだと思います。
