2026年1月1日後楽園での引退を発表した宮崎有妃。「はずかし固め」の継承問題から、引退後の指導者としての新たな道、そしてスターライト・キッド選手との秘話まで、葛西純選手との最高のデスマッチを終え、「もうやらない」と決意した宮崎が、それでも「上書きしてもいい」と語るデスマッチへの最後の相手を実名告白。ブリーフシスターズ勢揃いでの引退試合を前に、彼女がファンに託すメッセージとは…(取材・文/大楽聡詞 文中敬称略)
“デスマッチのカリスマ”葛西純に捧げた片思い
――今年8月10日に行われた“待望”の葛西純選手との蛍光灯デスマッチについてお聞かせください。
宮崎:2010年10月、1回目の引退前に初めて蛍光灯デスマッチをやったんです。その試合が楽しすぎて、「なぜ今までやってこなかったのか…」と後悔して引退しました。
【プロレスリングWAVE 宮崎有妃】今年、葛西純と戦いたい(4)
――2023年の取材の際に、「今年中に葛西選手とデスマッチがしたい」と話してくれました。
宮崎:2年前に戦いたい気持ちに気づいたけど、いろんな事情でできなかった。今回もタッグマッチになるかもしれなくて、全然うまいこといかなかった。
でも結果的にシングルで良かった。私は葛西純選手と試合がしたかったので。
2010年から、私はずっと葛西選手に「一目惚れ」していて。多分、ずっと好きで“やっと告白できた”、そんな気分でした。
――1988年8月8日横浜文化体育館でIWGPヘビー級王者の藤波辰爾選手がアントニオ猪木さんの挑戦を受け60分時間切れドロー。藤波選手は「猪木さんを60分独り占めできた贅沢な時間だった」と振り返りました。宮崎選手も同じような心境ですか?
宮崎:確かに60分間戦った藤波さんのように、試合中は葛西選手は私だけを見ていたし、葛西選手が私をやっつけるために用意した凶器や技も、すべて嬉しかった。
気持ちが消化できたかと聞かれれば、消化できました。でも、満足してはいけないな、とも思っています。
後日、葛西選手に「試合中にキスをしてしまい、すいません」と謝られたんですが、言われるまで忘れていたくらい、試合中の私はテンションが上がりっぱなしでした。
葛西さんは試合中に興奮しすぎると対戦相手にキスをしてしまう。それまでは男性限定だったそうですが。「葛西さんが興奮するほど私との試合が楽しかったんだ」と思ったら、すごく光栄なことだと感じました。
