ーー荒井社長の足跡をまとめた「翼をください」(ベースボール・マガジン社)の中に新宿鮫さんのコメントで、荒井さんから「いい試合をしてくれて、ありがとうございます」と電話があったと書かれていましたね。

新宿鮫:あれは巡業に出た時に社長から電話がかかってきて、「うわぁ、何だろう」と思っていたら、「ありがとうございます」という内容だったんです。それは、俺がリング上で外国人社長の秘書役だった藤咲理香に振られて、彼女に別の男がいると知ってショックを受けたという場面があって、観客にうけたんですよ。荒井社長はそれを知って、電話をかけてくれたんですよ。

ーー藤咲さんとか登場しているので、本当にFMW末期の話ですね。

新宿鮫:あとFMWが崩壊して、姿を消した時に荒井社長の名前でレスラー全員に1万円が入っていたんですよ。しばらくみんな、お金をもらないで生活していてので、俺はすぐに使っちゃいましたけど、今思うと使わないで、そのお金は取っておきたかったですね。まさか亡くなるとは思わなかったので…。

ーー先ほどをご紹介しました「翼をください」という書籍で「今までは選手がオーナーの団体にばっかりいたので、社長というのは社長の仕事をやってて会社なんだなって気はした」という新宿鮫さんのコメントが掲載されていました。そこは自身が関わった団体の社長と違って、いい社長だなという思いはありますか?

新宿鮫:それはありますね。ただ、人はいいんですけど、この人は背負いこみすぎだなとずっと思ってました。あとは人をあまり責めないじゃないですか。そこにみんなが甘えちゃったのかなと…。

ーーありがとうございます。次の質問に移りたいと思います。FMW崩壊後に冬木弘道さんが率いるWEWとミスター雁之助さんとハヤブサさんが率いるWMFの2つに分裂します。新宿鮫選手はWEWを選びました。なぜWEWを選んだのですか?

新宿鮫:FMWが潰れて取り残った選手たちの中で、俺と怨霊だけが他団体でデビューして途中から加入して、在籍歴も短い外様だったんですよ。実は雁ちゃん(ミスター雁之助)にも「うちに来てくれよ」と誘われていたんです。

ーーそうだったんですね!

新宿鮫:俺はFMWでは冬木さんと行動することが多かったんですよ。FMW崩壊してからすぐに冬木さんが「冬木軍プロモーション」で興行をやっていて、残ったFMW選手たちも出ていたじゃないですか。俺もその興行に出ていた時に雁ちゃんから誘われて「これは誰もに言わないでほしい」と言われて…。すると冬木さんがガンで倒れて引退するじゃないですか。それで板挟みになって何も言わないまま、川崎球場(2002年5月5日)まで冬木軍興行に出ていたんですよ。

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