1988年のダンロップレディースオープン初優勝、1989年からアメリカツアーに挑戦した
◼️人の心と、支え続けてくれた大切な存在
――その時期は、精神的にも辛いことが多かったようですね。
中嶋:特集を組んで頂いたり、CMにも起用して頂き、かなり期待された形で米ツアーに挑戦したのに、1991年、出場権を失い日本ツアーに復帰ということとなりました。にわかファンもいらしたかもしれません、チヤホヤしてくださっていた方は潮が引くようにいなくなりました。プロスポーツ選手ですから成績の良し悪しで判断させるのは仕方ないとわかっていましたが、「人ってこんなものなの?」と20代ですごく寂しい思いをしたのも事実です。
――それは人間不信になりますね。
中嶋:人間不信にはなりそうでなりませんでした。それは、成績が良くても悪くても、何も変わらずに応援してくださる方々もいらしたからです。本当に救いでもあり、有難かったです。有難すぎてお礼が言いたいという気持ちになり、そのうちに「お礼を言うのなら優勝インタビューで言いたい!」と思うようになりました。その途端に力が湧いてきました。現実はなんの予兆もなく、方法も見つかっていないのに力が湧いたんです。
この苦い経験から「本当に自分にとって大事な人とはどういうことなのか」という、とても大切なことを学ばせて頂きました。
<#4に続く>
編集/まるスポ編集部
プロフィール
プロゴルファー中嶋千尋(なかじま ちひろ)
優勝4回・ 日本プロスポーツ新人賞受賞・ 米ツアー参戦・ ベストスコア63
日本女子プロゴルフ協会公認ドライビングコンテスト優勝(272Y)
東京都出身。PL学園高校を卒業後、1985年にプロテストに合格。1988年には「ダンロップレディスオープンゴルフ」でツアー初優勝。翌年にはアメリカツアーに挑戦。帰国後、原因不明の首、背中、腰痛に苦しみ、以降長らく芳しい成績を残せなかった。1998年、「健勝苑レディス・道後」で約10年ぶりの優勝。2002年には2勝で通算4勝。2004年には「ミズノクラシックレディス」で“63”という自己ベストスコアを40歳で更新、2006年21年間のツアー生活に区切りをつける。その後、デザイナー、講演、企業研修なども手掛ける。現在は人生観も詰まっている「MOVE GOLF ACADEMY」にて、トッププロ育成と大人の可能性も引き出す指導に力を入れている。これまでの常識を刷新するMOVE理論で能力開花する人が続出。上手くなるだけではない人間力アップにも力を入れている。座右の銘は「愛情は平和のもと」
