【写真家 渞 忠之(ミナモト タダユキ)】自分が美しいと思えるものを撮りたい

――渞さんに「広田選手を撮りたい」と思わせるものは何ですか?

渞:広田選手が「自分の価値観で生きているから」でしょうか。ちょうど僕がパリに居る時、広田選手から電話がありました。「今来るならパリで撮影できるよ」と言ったら、大量の衣装を持ってパリに来ました(笑)。そういう行動力が広田選手の魅力の一つですよね。

――渞さんは広田さんの試合を観に行くことはありますか?

渞:観戦目的で会場に行くことはないです。会場に行ったらリングサイドからずっと彼女だけを撮っています。僕はプロレス専門カメラマンのプロレスに対する知識と技術と経験には敵いません。でもプロレス雑誌のカメラマンが撮りこぼしているところが絶対にあるはずだと考え、そこを狙っています。

プロレスもF1もバスケットもサッカーも、「専門的な知識がない自分は何が撮れるのか。その人たちが見落としたり忘れているものはあるのか…」と考えを巡らしカメラを構えています。

――渞さんが撮影した「雑誌ナンダー」の表紙を見て、「広田選手って、こんなに艶っぽい表情をするのだ」と思いました。多分、プロレス専門のカメラマンは広田さんのそういう表情を取りこぼしているのかも知れません。最後に、なぜ広田選手の映像を作るのですか?

渞:面白そうだから。広田選手でなければ、僕は撮影しない。彼女だから面白く作りたいし面白くなるような気がします。新しいものって「結果を気にせず、まずはトライすること」から生まれますよね。欲を言えば今後プロレス会場で流す映像やプロレス映像の教科書になってくれるようなものが出来たら良いなって思います。ダメならダメで良いし受け入れられなかったとしても、それはそれで勉強になる。全てのことに失敗はないですから。広田選手もそうだと思いますよ。

<終わり>

渞 忠之/ミナモト タダユキ 岡山県生まれ
渞忠之写真事務所主宰

人物(ポートレイト、ファッション)、静物(美術、工芸)、空間、建築、風景まで幅広いジャンルの撮影対象を、独自の光の技術で捉えた存在感ある写真で表現。舞台、美術をはじめとした日本文化全般に造詣が深く、それぞれのジャンルのアーティストとの長期にわたる親交は、図録やポスターの制作のみならず、企画展示の共同作業としても結実している。アーティストの精神性と作品の魅力に現代性を与える独自の写真は、海外の美術関係者の関心をも高い。NHKの8K映像制作にも参加し、スチールだけでなくmusicPVなどの制作も行い、広告、エディトリアル、web等、ボーダーレスに活動の場を広げている。

主な写真集:「deja-vu Paris」「月喰。」「BALLERINE」「GODAI」
主な書籍:野村萬斎「狂言サイボーグ」、千宗屋「茶味空間」、「森田空美のきもの美巡礼」、「もののみごと」(田中敦子、共著)
主なPV:「Mr.Children」「中村中」

渞忠之Webサイト

<インフォメーション>
10/10東京・新木場1stRINGにて「旧姓・広田さくら〜25周年くらい記念興行 in TOKYO」を開催。
発表カードは加藤園子vs永島千佳世vs広田の3way同期対決。松本都vs広田。アイガーvs広田。野崎渚vs松本浩代。母・世津子の部屋もあります。
チケット・詳細に関しては旧姓・広田さくら選手のTwitterをご覧ください。

旧姓・広田さくら Twitter
取材・編集/大楽 聡詞
写真/渞 忠之

関連記事