【写真家 渞 忠之(ミナモト タダユキ)】自分が美しいと思えるものを撮りたい

――渞さんは写真だけではなく映像(ムービー)も撮りますよね。これはどういった経緯があったのでしょうか?

渞:単純に機械の進化です。僕らは機械がないと仕事できないので機械の進化をそのまま受け入れています。人間は高速シャッター連射ができるわけでもない。やはり進化していくカメラ機材に敏感になっています。

ある時期から一眼レフでムービーが撮れるようになりました。ファインダーを覗いてシャッターチャンスをずっと待っている。ふと、「これを記録したら面白いな」と思いました。ムービーを録画しつつシャッターチャンスを待ち、「ここだ!」と思う時にシャッターを切る。録画されているので「なぜ、そこでシャッターを切ったのか」も一連の流れで分かります。それで「この流れをつないでみたら一つのストーリーになるんじゃないか」と思い映像を作ったのが始まりです。

――機材は最新のものを使いますか?

渞:はい、機材はその時点でなるべく最高峰のものを使うようにしています。もちろんアナログカメラも使っているし昔のフィルムも使っていますよ。ただカメラって新しい印刷技術に対応できるだけの高画質な高解像度のカメラを持っていないとトップレベルの仕事ができないのです。

例えばクライアントやアートディレクターに「一億画素が欲しい」と言われた時、一億画素のカメラを使ったことがないカメラマンは彼らの選択肢から漏れてしまいます。「一億画素ですか、大丈夫です!」と言って、初めて最高峰の仕事が入ってくる。最高峰の技術を持って最高峰の機械を扱えることが僕はMAXだと思っています。

――渞さんは、これまで様々な仕事をされてきたと思いますが、1番印象に残っている仕事は何でしょうか?

渞:全部。僕は仕事に対して上下はないですね。毎回全てを注ぎ込んで真剣に取り組んでいるからその全てが「良い仕事だったな〜」と思っています。逆に「ダメだったな…」と思うことはないです。それをやったらプロではない。例えば1万円のポートレートの仕事でも100万円の広告の仕事でも、その金額で自分のテンションが決まることはありません。

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