

――解説の小佐野(景広)さんが「鈴木秀樹はリング上で“キラー鈴木”に変わることがある。彼がいることで全日本マットが引き締まる」と。
鈴木:そう言ってもらえるとありがたいけど、どうですかね。それは必要ですか?
――必要だと思います。
鈴木:皆さんが必要だと思ってくれればいいのかな。結局、自分がやりたいことをやるのがリング上じゃないような気がするんですよ。
例えば、“鈴木秀樹”もそうだし、所属選手もフリーの選手もいろんなプロレスラーがリングに上がっている。お客様が「このレスラーのこういうものを見たい!」と思うものを見せるのがプロレスビジネスの基本だと。
――そんな中で明るく楽しい部分だけではなく、時に“厳しさ”を見せてくれるのが鈴木選手のプロレスだと思います。
鈴木:誤解してほしくないのは、その厳しさが全日本に足りない部分だと思っていない。今の全日本に足りないから、僕がその部分を出してるわけじゃなくて、僕が今まで受けた経験とか教わったものを出しているだけなんです。別に厳しくしようとは思ってない。
昔教わったアントニオ猪木さんや藤田和之さんといった人たちが、僕の今のスタイルのルーツになっています。当時は否定したんですよ。否定っていうか、分からないしやりたくない。やっぱり嫌だったんです。
でも大会のポスターがあるじゃないですか。僕のポーズは少し腰を落とし、両手を広げたファイティングポーズなんです。
これって猪木さんじゃないですか。自分では全然そんなつもりもないし、猪木さんの全てを理解できてない。ビル・ロビンソンもあるのかもしれないけど、見ている人がそういう過去のルーツを感じて、イメージを僕に抱いているのかと思っています。