「上沢式FA」とはポスティングシステムを利用しMLBに挑戦。だが1年で自由契約となり、古巣ではない国内の他球へ移籍した一連のルートを表現した言葉(写真はイメージ)
「上沢式FA(うわさわしきエフエー)」とは、プロ野球選手が「ポスティングシステム」を利用してメジャーリーグ(MLB)に挑戦した際、わずか1年で自由契約(FA)となり、古巣ではなく国内の他球団(ソフトバンクホークス)へ移籍した一連のルートを表現した言葉である。2024年オフに上沢直之投手がこの形で国内復帰したことから命名された。
フィリーズ2Aを自由契約になった青柳晃洋がヤクルトへ入団濃厚 1シーズン足らずで国内他球団へ移籍も“上沢式FA”と異なる理由は?
本来、国内で他球団へ移籍するには長年の出場を重ねて「国内FA権」を取得する必要がある。しかし、球団の容認によるポスティングでMLBへ渡ると、現地で自由契約になった時点で「どこの球団とも自由に契約できる立場」になる。結果として、国内FA権の取得条件を満たさないまま、帰国時に事実上のフリーエージェントとして巨額の契約を結ぶことが可能となった。
この移籍は日米の規約・ルール上、完全に合法であり正当な権利である。しかし、メジャー挑戦を後押しした古巣の球団やファンから見れば、「ポスティングという特権を利用され、短期間で国内のライバル球団にさらわれた」と映る。そのため、道義的・感情的な観点からファンの間で大きな論争を巻き起こした。
この事態に対し、古巣・日本ハムの新庄剛志監督は「ルール上は何も悪くない」とした上で、次のように複雑な胸中を明かしている。
「(メジャーで)何年間か死に物狂いでやってダメで戻ってくるならわかるが、1年でパッと戻って、他の球団に行くというのは、応援したファンの気持ちはどうなるのかなという思いはある」
かつて2022年オフに有原航平投手が同様の経緯でソフトバンクへ移籍した際にも「有原式FA」として物議を醸したが、今回のケースは、現行のポスティング制度における「抜け穴」やルール上の不完全さを改めて浮き彫りにした。新庄監督の言葉は、制度の是非だけでなく、送り出した側の「感情の置き所」という、プロスポーツにおける極めて重要なテーマを球界に問いかけている。
記事/まるスポ編集部
