レスラーと取締役、二つの顔を使いこなすDDTのキーマン・彰人
独自の「教科書」が並ぶDDTの育成論

――若手の台頭については、また別の要因があるのでしょうか?
彰人:DGC世代の子たち…例えば、海外遠征中の中村圭吾やDAMNATION T.Aの岡谷英樹は、キャリアが6,7年になってきている。他団体ならもう若手とは呼ばれない時期かもしれませんが、DDTは層が厚いので「若手」という括りでやってきた。それが今、ようやく実を結び始めているんです。彼らが自発的に伸びてきたから、それに見合った「場所」を会社が用意している、という感じです。
――DDTの興行は第1試合からメインイベントまで試合ごとにストーリーがある。初見のお客さんでも最後まで惹きつけられる魅力は、どこにあるとお考えですか?
彰人:僕らの良さは、どこの団体よりも「大会パッケージ」を意識しているところだと思います。選手全員が、今日の自分の立ち位置を把握している。「第1試合には第1試合の役割がある」と。自分だけが目立とうとするのではなく、団体として良いものを提供しようという精神性が浸透しているんです。
【葛西陽向】“デスマッチのカリスマ”葛西純の息子「(父が)DDTはいろんな可能性が詰まっている」(25年8月インタビュー)
――そのクオリティを維持できるのは、どうしてですか?
彰人:DDTは少し特殊かもしれません。例えば一番下の世代の葛西(陽向)などは、まだ持っていない技術の方が多い。
でも、先輩たちは葛西の「今持っているもの」を最大限に使ってパフォーマンスに繋げようとします。本人の隠れた「人間性」や「バラエティ能力」という名の金脈を、先輩たちが掘り当てようとするんです。
――技術指導だけではないのですね。
彰人:実は、技術的なことを細かく言わない先輩が多いんですよ。みんな「本流」ではないというか。僕自身も亜流かつ我流でここまで来ましたし、「自分のやり方を正しいこととして教えるのは違うな」と考えている人が多い。その代わり、DDTには「色んな教科書」がある。
生え抜きが多い団体だと教科書は一冊になりがちですが、DDTには僕のようなDDT外の団体出身の選手もいれば、男色ディーノ、佐々木大輔、HARASHIMA……と、各々の教科書があります。
決まった正解がないからこそ、若手は自分にフィットする教科書を自分自身で見つけ出せばいい。それが、この多様なメンバーが集まるDDTにいる一番のメリットだと思います。
