最後の後楽園、棚橋弘至はBOSJ覇者・藤田晃生と激突した
2025年12月22日、プロレスの聖地・後楽園ホール。1999年のデビューから四半世紀、この会場と共に歩んできた“100年に一人の逸材”棚橋弘至が、ついに「最後の聖地」のリングに立った。
棚橋弘至、高橋ヒロムとの初シングル制す「あと3試合となりました」
引退へのカウントダウンが刻まれるなか、棚橋弘至ファイナルロード「継(つなぐ)」と銘打たれた一戦。対峙したのは、今年の『BEST OF THE SUPER Jr. 32』を制し、新時代の旗手となった藤田晃生。
試合は、ゴングと同時に藤田が奇襲のドロップキックを叩き込み、場外の棚橋に間髪入れずトペ・コンヒーローを敢行。場内がどよめく。藤田は容赦のない逆水平チョップで棚橋の胸板を赤く染め上げ、ジャーマン・スープレックスで一気に追い込んでいく。

しかし、聖地のファンが送る「タナハシ」コールが、エースを突き動かす。棚橋はツイスト・アンド・シャウトで流れを引き戻すと、勝負のハイフライフローを放つ。だが、これは藤田が執念の回避。逆に藤田のジャーマン・スープレックス・ホールドが完璧に決まり、カウント3寸前まで追い込まれる。
だが棚橋はスリングブレイドからダルマ式ジャーマンへと繋ぎ、藤田の粘りを断ち切るようにハイフライアタック、そして最後はハイフライフローを投下しカウント3。棚橋は、自身のプロレス人生が始まったこの地でのラストマッチを、自らの代名詞である翼で勝ち取った。

試合後、棚橋はWORLD TAG LEAGUEでパートナーだったエル・ファンタズモをリングに呼び寄せた。引退試合に向けた“ウエーブ”の練習で会場を一体化させると、「これで皆さんの気持ちも準備が整ったと思います。あとは東京ドーム、盛大に盛り上がりましょう!」と力強く宣言。エアギターを披露し、場内の熱気は最高潮に達した。
客席に揺れる無数の「棚橋応援ボード」を目の当たりにした逸材の瞳には、熱いものがこみ上げる。しかし、最後はエースらしい晴れやかな笑顔でこう叫んだ。

「まだまだ現役で行こうぜ! 後楽園ホールのみなさん、愛してまーーす!」
聖地との別れを告げた棚橋。残す試合はあと1つ。2026年1月4日、東京ドーム。日本プロレス界の象徴が、ついにその長い旅路の終着点へと向かう。
記事/まるスポ編集部
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