ゴルフのスキルアップのコーチではなく、人生に生きる思考を、ゴルフを通して伝える教育者のように見える
――いつ頃の記憶は覚えているのですか?
中嶋:2日目の夕方、組み合わせを見た時です。最終日、最終組。そこで「あっ、私3位以内なんだ…」と初めて状況を認識しました。両親に長らく良い位置で試合している姿を見せることができてなかったので、急遽試合会場に呼びました。
最終日、まだ優勝を意識する感覚もなかったのですが、ホールが進むごとに「優勝争い大好物」の私はゾーンに入っていきました。スリル満点のゴルフを展開しながらも、バーディも量産していきました。
自分でも「やってしまった!」と思ったのが、TV中継が始まる15番ホール、打ち上げの短いミドルホールです。少しショットが曲がっていたので「ここで気持ちよく振っておこうかな」と思ったら、絶対に行ってはいけない左の深い地獄谷へ。プロとしては本当にやってはいけないミスです(笑)。その瞬間、アンプレヤブル(打てないと判断して1打罰で救済を受ける)も選択肢の一つと思いながら、凄い傾斜を木につかまりながら地獄谷におりていきました。なぜかやけに冷静で、のんびりした気分でした。
――そんな場所に一打目を打ってしまったのですね。
中嶋:テレビクルーもついてこられないほどの傾斜でした。
