広陵高が史上初の不祥事による大会途中での辞退 当初は「出場判断については変更なし」も、SNSからの批判も強まり不可避に

批判が日に日に増す中、ついに広陵高校は甲子園の辞退を表明した(写真はイメージ)

広陵高校がついに「第107回全国高等学校野球選手権大会」(夏の甲子園)の辞退を表明した。

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大会期間中に不祥事での辞退は史上初の事例。指揮を執っていた中井哲之監督は、学校が部の運営体制や環境を調査する間は指導から外れることも発表されている。

酷暑や試合内容以上に加熱していた広陵高の甲子園出場問題。7日の旭川志峯(北海道)戦に3-1で勝利し、批判の声がさらに集まる一方だった。

事の発端は1月下旬に暴力事案が発生したところへと遡る。

当時の1年生部員が寮で禁止されていたカップラーメンを食べたことを、複数の2年生部員に知られたことが発端と見られている。

学校は県の高野連へ事案を報告し、3月に厳重注意と当該部員の1ヶ月間の対外試合出場停止の処分が科された。

その後広陵高は県大会を勝ち上がり甲子園出場を決めたが、SNSでのある投稿をきっかけに風向きが変わっていく。

それは暴行を受けた保護者と見られる投稿だった。

「正座させられて10人以上に囲まれて執拗に蹴られた」「顔も殴られた」という暴行内容であったり、罵倒もあったと具体的に記されていた。

また、相談した中井監督から「2年生の対外試合なくなってもいいんか?」などと恫喝され、「(高野連への報告を)出されては困ります」などと言わされたことも投稿。

被害生徒は転校を余儀なくされ、大会期間中の7月に被害届も提出されていたことも明らかになっている。

これらの内容はSNSで瞬く間に拡散され、メディアでも取り上げられる事態となっていた。

しかし、6日に高野連は「SNSで拡散された内容と学校からの報告に食い違いがある」などとし、広陵高の出場判断については変更なしとして容認。7日の試合に臨み、14日に津田学園(三重)との試合が予定されていた。

それでも日に日に熱を帯びていく批判を避けることは不可能だった。

10日発表された広陵高の辞退。会見に臨んだ同校の堀正和校長は「こうした事態を重く受け止め、速やかに指導体制の抜本的な見直しを図る」とした。

学校では登下校中の生徒が中傷されたり追いかけられたりすることや、ネット上で寮の爆破予告が書き込まれるなどの被害が相次いでいたという。

なお現在は中井哲之監督の息子が部長を務め、監督の妻も寮母を務めるなど一家で野球部を支えており、今後の影響も懸念される。

春の選抜大会では27回出場のうち3度の優勝を果たし、夏の選手権大会は26回の出場で4回の準優勝を果たしている広陵高。プロ野球選手も多く輩出している名門は、不名誉な形で今年の甲子園を去った。

記事/まるスポ編集部

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