「上沢式FA」とはポスティングシステムを利用しMLBに挑戦。だが1年で自由契約となり、古巣ではない国内の他球へ移籍した一連のルートを表現した言葉(写真はイメージ)
「上沢式FA」とは、現在ソフトバンクに在籍している上沢直之投手が日本球界に復帰して以降使われているフレーズ。
FA権を持たない選手がポスティングシステムを利用してMLB移籍後、短期間で復帰する際に国内他球団へ移籍することを揶揄している。
フィリーズ2Aを自由契約になった青柳晃洋がヤクルトへ入団濃厚 1シーズン足らずで国内他球団へ移籍も“上沢式FA”と異なる理由は?
元々は有原航平(現:日本ハム)が、上沢と同じ大型契約でソフトバンクに移籍していたことから、“有原式FA”と称されていた。
しかし有原のMLB挑戦期間が2年だったのに対し、上沢は1年未満だったことから、呼称が上沢へと移った格好になった。
本来国内で他球団へ移籍するには、一軍登録日数が通算145日以上となるシーズンを通算8シーズン過ごすことで得られる「国内FA権」を取得する必要がある。
だが、FA権を持たずとも球団の容認によるポスティングでMLBへ渡ると、仮にリリースされた時点で「国内外問わずどこの球団とも自由に契約できる立場」となる。
そのため国内FA権の取得条件を満たさないまま、帰国時にはフリーエージェントとして巨額の契約を結ぶことが可能となる。
この移籍自体はルール上問題ないが、メジャー挑戦を後押しした古巣の球団やファンから見れば、「ポスティングという特権を利用され、短期間で国内のライバル球団にさらわれた」と映る。
そのため、上沢や有原のケースでは道義的・感情的な観点からファンの間で大きな論争を巻き起こした。
25年1月に日本ハムの新庄剛志監督が、上沢がソフトバンクへ移籍したことを受けて次のように胸中を明かしている。
「(メジャーで)何年間か死に物狂いでやってダメで戻ってくるならわかるが、1年でパッと戻って、他の球団に行くというのは、応援したファンの気持ちはどうなるのかなという思いはある」
先日報道された元中日の小笠原慎之介投手が巨人入りという報道もあり、現行のポスティング制度における「抜け穴」やルール上の不完全さを改めて浮き彫りにした。ポスティングシステム利用による短期間での国内復帰は、制度の是非だけでなく送り出した側の「感情の置き所」という、プロスポーツにおけるテーマを球界に問いかけている。
記事/まるスポ編集部
