【DDTプロレス 彰人】副社長とレスラー、2つの肩書き(前編)

――彰人選手の試合で印象に残っているのが、2019年7月大田区で朱崇花選手と行った蛍光灯IPPONデスマッチです。

彰人:アイデアは僕の中にあったものですが、朱崇花選手の身体能力があってこそ出来た試合だと思います。大喜利みたいなもので、「蛍光灯を割らずに、いかにスリリングに魅せるか」がテーマでした。

――大日本プロレス(以下 大日本)の蛍光灯デスマッチと違い、ルールが「蛍光灯を割ったら試合が終わる」に驚きました。割れないようにしなければ行けない…観ていてドキドキしっぱなしでした。

彰人:プロレスは相手との戦いだけではなく、お客さんとの勝負でもあります。試合の中で「起承転結」を考えながら、僕は戦っています。蛍光灯は無機物で、どのタイミングで割れるか分からない。その緊張感はすごかったですね。

 もしかすると蛍光灯が試合開始1分で割れてしまう可能性もある。だからスリリングで普段の試合以上にアドレナリンが出ました。

――初めてプロレス観戦した友達が「蛍光灯IPPONデスマッチが1番良かった」と興奮していました。

彰人:それは嬉しい!元々、木高イサミ選手とプロレスの映像を観ながら話している時、「彰人、デスマッチやりたい?」と聞かれました。僕は「切り傷とか痛いし、デスマッチはイヤです」と(苦笑)。

 その頃、デスマッチは刃物が出てきて、いろいろ出尽くしてしまった感じがしていました。僕はイサミさんに「大日本が始まった頃は蛍光灯1本が出てきただけで『うわっ』と驚いていた。だから1本の大事さってあるし、むしろ1本で出来ることってありますよね?それなら出来ますよ」と。

 そこで2015年9月新木場、酒場プロレスで始めたのが最初ですね。デスマッチに対してのアンチテーゼではありませんが、「蛍光灯を使って、こういう見せ方もあるよ」という提案的な意味はありました。

 蛍光灯IPPONデスマッチにはスリルがあって蛍光灯が割れることへの恐怖もある。もちろん僕はデスマッチをしたことがないので蛍光灯に対しての恐怖を持ちながら戦うわけです。

――通常のプロレスの面白さだけではなく、「蛍光灯が割れるかどうか」もドキドキしながら試合を観る。蛍光灯IPPONデスマッチは1試合で2倍楽しめました。

彰人:あの試合、控室に戻った時、みんなに拍手で迎えられました。そんなこと、あとにも先にもないですね。青木真也さんに、「あんなエクスタシーを感じる試合をしたら、他の試合をして物足りなくなるんじゃない?」と言われました(笑)。

――あの試合の後、戦っていて気持ちが高まった試合はありますか?

彰人:元々、リング上では冷静に戦う方なので、あそこまで高揚感を感じる試合はなかなかないですね。蛍光灯IPPONデスマッチは試合が終わっても、アドレナリンで手が震えていたので。

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