【レーシングドライバー 伊藤 慎之典 前編】サーキット場で聴こえるエンジン音や迫力に魅了され「レーサーになりたい」と…

■本格的なレース参戦

――初めてレースに出場したのはいつですか?

伊藤:本格的なのは高校1年、2015年11月頃もてぎカートレースで行われましたレースです。それ以前は各チーム主催のアマチュアレースを「草レース」と言います。この草レースに練習を開始して3回目に出場しています。

――それは「レース勘」を養うためのものでしょうか?

伊藤:そうです。草レースで初めて他のドライバーと競い合った時、「怖い」と感じました。カートに乗ることは楽しいけど、「抜いた」「抜かれた」のバトルがあります。カートとカートの距離が1cmくらいまで近づく。その時、相手のタイヤがすぐ隣で回っている。冷静になり「少しでもぶつかれば車体が飛んでしまう」と(苦笑)。ただレースを繰り返すことで、少しずつ慣れていきました。

――そういった経験を積んで高校1年の11月に本格的なレースに出場しました。やはり草レースとは違いますか?

伊藤:全く違います。草レースは車検もないですし、誤解を恐れずに言うと「ゆるいレース」です。当時チームに所属していましたが、実質メカニックは父1人。年末に参戦した本格的なレースは、ドライバーのレベルも高いし何をしていたのか記憶がないです。ただあたふたしていました。気がついたらレースが終わっていましたね(苦笑)。

――それは苦い思い出ですね。

伊藤:はい、苦い思い出です(笑)。そのもてぎカートレースがシーズン最終戦でした。シーズンオフに入り翌年の開幕まで「自分」と向き合いました。

高校1年の時、レースは参加したりしなかったりしていました。それではレース勘が掴めない。年末の最終戦終わりで「来シーズンは継続的にレースに出場する」と決めました。

それ以外にも「レースの時、何がいけなかったのか?」を考え、問題点を一つずつ書き出しました。そしてシーズンオフ、最終戦のコースに何度か練習に行き、問題をクリアするように取り組みました。

――レース環境に振り回されないようにする3ヶ月ということでしょうか。

伊藤:はい、あくまでメインは「レーシングドライバーとしての自分のタイムを伸ばすこと」です。とにかく少しずつタイムを詰めていくことを考えました。父も仕事を抱えながら一生懸命メカの勉強をしてくれました。僕も父も初心者です。とにかく二人三脚でやりました。あの頃はやりたいことは分かるけど、作業が遅くてやれないことが多かったですね(笑)。
<後編に続く>

伊藤 慎之典/イトウ シンノスケ 福島県いわき市出身
いわき秀英高校卒業
千葉工業大学在学中
所属:HRT&チャリ走GO!KART!/KART
  :TAKE FIRST(鈴鹿)/ZAP SPEED

レーシングカー履歴
2015年 カートを始める
2016年 各地SLシリーズ参戦
2017〜2019年 全日本FS-125参戦
2018,2019年 ROCKUP(イタリア)参戦
2020年 全日本OKクラス参戦

フォーミュラー履歴
2020年 S-FJ日本一決定戦
2021年 鈴鹿シリーズ参戦中
2021年 もてぎ・菅生シリーズ参戦中

取材・文/大楽 聡詞
写真/本人提供

1 2 3 4

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

Share me!
  • URLをコピーしました!
目次