市場コーチは常識を覆す特訓で足立和也選手をW杯日本人初の快挙へ導いた
◼️カヌーを「誰かの生きる活力」に
――市場さんが、指導者として最終的に見据える「ゴール」は何でしょうか。
市場:一番の目標は、足立にオリンピックの舞台で最も輝くメダルを取ってもらうことです。そして今、彼の背中を追って齋藤彰太や康祐といった若い選手たちも育ってきています。
理想を言えば、ワールドカップやオリンピックの決勝の舞台に、私の教えた選手たちが2人も3人も残り、身内同士で世界一を争うような景色を見てみたいですね。指導者として、これ以上の喜びはありません。
そしてもう一つ、大きな夢があります。それは、このカヌースラロームという素晴らしい競技を、もっと多くの一般の方々に認知してもらうことです。
例えば、野球やサッカーのビッグマッチ、あるいはボクシングの井上尚弥選手の試合のように、週末にすごい試合があるから「今週の仕事はキツいけど、あの試合を楽しみに頑張ろう」と、誰かの生きる活力や心の支えになるようなスポーツがありますよね。
私たちのチームの選手も、「彼らが激流で必死に戦っているから、俺も明日からまた頑張ろう」と思ってもらえるような影響力を持つ存在になってほしい。
選手のレースを心から楽しみに待つ人を、日本中に増やしていく。それこそが、私がカヌー界の未来に対して果たすべき、最大の使命だと思っています。
<了>
プロフィール
市場 大樹(いちば だいき)1977年5月29日生まれ。高校時代に日本選手権を制し渡欧するも、世界の壁に直面し一度は競技を離れる。2004年に復帰。その後、愛弟子・足立和也の覚悟に触れ「自らの過去をすべて捨てる」決意をし、独自の“勝つ仕組み”を構築。2016年ワールドカップで日本人初メダル獲得へと導いた。現在は2028年ロス五輪、そしてカヌーを「誰かの生きる活力」にする使命へ向け、挑戦を続けている。
