昨年のごちゃまぜカヌー大会で参加者と共に楽しむ岩渕琢磨氏(真ん中)
9月5.6日、千葉県・印旛沼を舞台に開催される「第2回ごちゃまぜカヌー大会」。障がいの有無や年齢、性別、競技レベルに関わらず、すべての人が同じ水面で汗を流すこのイベントは、単なるスポーツ大会の枠を超え、新しい地域共生社会のモデルとして注目を集めている。主催する岩渕薬品株式会社の代表取締役社長・岩渕琢磨さんと、大会実行委員長を務める長洲美穂さんの言葉から、この取り組みに込められた想いと未来への可能性を聞いた。(取材・記事/大楽聡詞)
恩返しの100年へ。「ネガティブ」を「地域の魅力」に変える挑戦
創業1914年、100年を超える医薬品卸売業・岩渕薬品が、なぜ水上スポーツを企画するのか。その原点には、地元のシンボルである「印旛沼」に対する強い想いと、企業の節目における決意があったと岩渕さんは語る。
「地元にある印旛沼は、昔から『水質が汚い』ことで有名で、学校でも『汚しちゃダメ』といったネガティブな文脈で語られることが多かったんです。弊社が100周年を迎えた際、次の100年は地域への『恩返しの100年』にしようと決めました。医療の枠にとどまらず、ビジネスを通じて地域の課題を解決していく。その中で出会ったのが、印旛沼をポジティブに捉え直そうと活動する地域の方々でした」
岩渕さんは地域住民と接する中で、「水面という空間」が持つ大きな可能性に気づく。
「ある方から『水面はフラットだから、カヌーに乗れば障がいの有無も年齢も関係なく、みんなの目線が同じになる。水場こそが究極のバリアフリーなんだ』とお伺いし、強く共感しました。垣根なく同じ目線でスポーツを楽しみ、印旛沼の魅力も再発見してもらう。そうした想いから『ごちゃまぜ』というコンセプトを掲げてスタートしたのです」
単に病気ではないことだけでなく、身体的・精神的・社会的な健康(ウェルビーイング)を目指す。誰もが自分の持ち味を生かし、地域で「ありがとう」と言われる環境を作ることこそが、岩渕薬品の目指す未来像だ。
