カヌー3種目を極めた大城良介氏。「勝つカヌー」から「生涯スポーツ」へ、水上に見出す未来とは…
◼️カヌーを通じた「人間教育」
――現在、大城さんは指導者としても活動されています。子供たちにカヌーを教える理由は何ですか?
大城:一言で言えば「恩返し」です。私が中学の頃、周りの大人の方々にカヌーを通じていろんな楽しい経験をさせてもらい、育てていただきました。今度はそのバトンを、次の世代に渡したい。
三好のカヌー文化が30年以上も途絶えることなく継続していることは、私たちの何よりの誇りです。
――指導において大切にしていることはありますか?
大城:カヌーは「人間力」を磨く最高のツールだと思っています。水の上に出れば、誰にも邪魔されない自由な世界が広がっている。しかし同時に、すべては自己責任です。
追い風に乗って遠くまで行けても、帰りは向かい風の中、必死に漕いで戻ってこなければいけない。誰も助けてくれない状況で、自分で判断して切り抜けるしかないんです。
一方で、誰かが転覆したら助けなきゃいけない。そこにいる全員が「仲間」であるという意識も芽生える。
自己責任と協調性。この両輪が、水の上では自然と身につくんです。だからこそ、私は試合に勝つことだけを目標にするのではなく、負けたときにどう次へ繋げるか、そして周りにどう感謝できるかを大切にしてほしいと考えています。
――「好きなことだけで生きること」のが難しい現実も、子供たちに伝えているのでしょうか。
大城:もちろんです。私自身、中3の時には「カヌーでは生活できない」と悟りました(笑)。しかしながら、カヌーを通じて人生を楽しく豊かにすることができることも感じました。
だからこそ、カヌーを人生成功のためのステップにしてほしい。カヌーを通じて社会貢献できる人間を育てる。それが私たちのテーマです。
<後編に続く>
プロフィール
大城良介(おおしろ・りょうすけ) 1979年生まれ、愛知県出身。県立東郷高校、愛知大学卒業。カヌースプリントで国体2度優勝、世界ジュニア選手権出場などトップ選手として活躍後、大学からカヌーポロへ転向し日本代表を経験。2012年にはワイルドウォーターで国体出場を果たすなど、カヌー3競技を極める。カヌー歴34年。現在は公益社団法人日本カヌー連盟カヌーポロ競技運営委員会副委員長、愛知県カヌー協会理事長を務め、競技普及と地元・みよし市での次世代への「人間教育」に尽力している。
記事/大楽聡詞
編集/まるスポ編集部
