カヌー3種目を極めた大城良介氏。「勝つカヌー」から「生涯スポーツ」へ、水上に見出す未来とは…
◼️カヌーポロとの出会いと、生涯スポーツの発見
――スプリントで頂点を目指す一方で、カヌーポロやワイルドウォーターなど、多種目に広げていったのはなぜですか?
大城:中学時代に出場した『全中(全国中学校カヌースプリント選手権大会)』の上位入賞者が、高校1年生のときにオランダへ派遣される企画があったんです。
そこで本場ヨーロッパのカヌー文化を肌で感じたのが、私にとって非常に大きかったですね。
白髪のおじいさんがゆっくりとパドルを漕ぎながら、ごく自然にレースを楽しんでいる姿や、ヨーロッパ各地から集まったチームがキャンプをしながらカヌーを満喫している光景――。
競技として“ただ速く漕ぐ”だけではない、人々の人生に深く根付いたカヌーのあり方を知って、強烈な衝撃を受けました。
――それで、スプリント以外の可能性も探り始めたと。
大城:高校2年生の頃にカヌーポロに出会い、「この競技でも活躍したい」と思い始めました。
スプリントは個人がしのぎを削り、コンマ数秒のタイムを競う競技ですが、ポロにはサッカーのようなチームプレーならではの楽しさ、面白さがあるんです。
1点取るだけでスタジアムが沸き上がるような、あの熱狂に惹かれたんです。
※カヌーポロとは1チーム5人の選手がカヌーに乗り、水上のゴールにボールを入れ合って得点を競う競技。

――大学からは完全にカヌーポロに転向されたんですね。
大城:高校3年生の国体が終わった2週間後には、進学先である愛知大学のメンバーと遠征に赴いていました。
その後、カヌーポロの日本代表として世界選手権に出場し、アジアカップでは優勝に届かず悔しい銀メダルも経験しました。
社会人3年目の夏には、地元の三好町で開催された世界選手権のメンバーに選ばれなかったという、人生最大の悔いもあります。
しかし、その大きな挫折があっても、私の中でカヌーはもう、人生を共にする「生涯スポーツ」へと昇華していました。
――大城さんが、社会人になっても競技を継続できている理由はどこにあるのでしょうか。
大城:単純に、「楽しいから」に尽きますね。もちろん、今も若い選手たちと変わらず全力でプレーできる喜びもありますが、水上から空を見上げたときの爽快感や、仕事の疲れを忘れて水の上で心身をリセットする時間――。
それは、学生時代の「勝つためのカヌー」とはまた違う、自分自身を整えるための本当に大切な時間になっています。
