SMBC日本シリーズ2024:鷹の牙城を崩したベイスターズの粘りと勢い
2024年秋、プロ野球の頂点を決める「SMBC日本シリーズ」は、パ・リーグ覇者の福岡ソフトバンクホークスと、セ・リーグ3位からクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がった横浜DeNAベイスターズという、対照的な勢力の激突となった。結果は、DeNAがソフトバンクを4勝2敗で破り、1998年以来26年ぶり3度目の日本一に輝くという、歴史的な幕切れを迎えた。
このシリーズは、レギュラーシーズンの貯金差が40という「史上最大の下剋上」と評されるにふさわしい、濃密なドラマを内包していた。
開幕2連勝の鷹、絶望からの反攻
シリーズは、横浜スタジアムで行われた初戦、二戦と、ソフトバンクがその地力の高さを見せつけ連勝を飾る滑り出しとなった。特に第2戦では、ソフトバンクの先発モイネロが力投し、打線も効率よく得点を重ねて優位に進めた。パ・リーグ王者の強さは揺るぎないかに見え、DeNAにとって早くも暗雲が立ち込める展開だった。
しかし、戦いの舞台を福岡・みずほPayPayドームに移した第3戦から、シリーズの流れは一変する。
潮目が変わった第3戦以降の「ハマの勢い」
DeNAは第3戦、エース東克樹が粘りの投球を見せ、打線は後にシリーズMVPに輝く桑原将志らの活躍でソフトバンクを突き放し、待望のシリーズ初勝利を挙げる。この一戦が、チームに勢いと自信をもたらした。
続く第4戦では、ケイがソフトバンク打線を7回4安打無失点に抑え込む快投。打ってはオースティンが豪快なホームランを放ち、連勝でシリーズをタイに戻す。そして第5戦、DeNAは筒香嘉智や牧秀悟らが躍動し、完封勝利で一気に王手をかけた。
3連勝で流れを引き寄せたDeNAに対し、ソフトバンクは主砲の山川穂高らを擁する強力打線が湿りがちとなり、自慢の中継ぎ陣もシリーズ中盤以降は精彩を欠いた。
最終決戦の地、横浜での劇的な結末
再び横浜スタジアムに戻った第6戦。DeNAにとっては本拠地での日本一決定という最高の舞台、ソフトバンクにとっては土俵際の粘りを見せたい一戦となった。
試合は序盤からDeNA打線がソフトバンク先発陣を捉え、勢いをそのままに大量得点を奪う展開となる。一方、ソフトバンクはエース有原航平が登板するも、DeNA打線の猛攻の前に崩れ去った。DeNAは筒香のホームランを含む集中打でスコアボードを賑わせ、投げては先発の大貫をはじめとする投手陣がソフトバンク打線に的を絞らせなかった。
最終的に11対2とソフトバンクを圧倒する形で勝利を収めたDeNAは、本拠地のファンの前で歓喜の瞬間を迎えることとなった。
勝敗を分けた「勢い」と「采配」
このシリーズの勝敗を分けた要因として、DeNAの「勢い」と三浦大輔監督の「大胆な采配」が挙げられる。レギュラーシーズン3位からの下剋上を成し遂げたチームの士気は高く、一度波に乗ると手がつけられない集中力を発揮した。また、三浦監督は短期決戦で大胆な投手起用を見せ、ソフトバンクの強力打線を封じ込めることに成功した。
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対するソフトバンクは、パ・リーグでの圧倒的な戦力がシリーズ序盤は機能したものの、DeNAの勢いを止めることができず、特に中盤以降、打線と救援陣が持ち味を発揮できなかったことが悔やまれる。
日本シリーズ2024は、横浜DeNAベイスターズが「史上最大の下剋上」という金字塔を打ち立て、26年ぶりにハマの地に歓喜をもたらした歴史的なシリーズとして、長く語り継がれることとなるだろう。ソフトバンクの雪辱は、翌年以降のシーズンに託されることとなった。
編集/まるスポ編集部
