今井さんは「環境の変化により子供たちの再学習の場が失われている」と話した
「最近の子どもたちは、自分の体を支える力が極端に弱くなっている」。そう警鐘を鳴らすのは、30年以上にわたり水泳指導やメンタルコーチングを行ってきた今井礼子さんだ。
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ジュニアアスリートを応援するポッドキャスト番組『まるスポチャンネル』に出演した今井さんは、現代の子どもたちの運動能力を脅かす根深い問題について語った。
その一つが、幼少期に経験するべき「高這い(たかばい)」の経験不足だという。
■高這いができない現代っ子たち
今井さんが指摘する「高這い」とは、膝をつかずに手と足だけで体を支えて進む、基礎的な身体動作のこと。この動作を十分に経験しないまま成長してしまうと、自分の体重を手と肩で支えるという土台となる感覚が育たない。
その結果、「プールサイドに自力で上がれない」「逆立ちを怖がる」といった、スポーツに取り組む上で致命的な弱点が現れてしまう。
■失われた再学習の機会「雑巾がけ」
さらに深刻なのは、高這いができずに育ってしまった子どもたちが、後天的にその基礎的な力を取り戻す機会が現代社会では失われている点だ。
今井さんによると、昔の学校生活における「雑巾がけ」は、まさに高這いと同じ姿勢であり、腕や肩甲骨周りの安定性を養う非常に貴重な「再学習の場」だった。
しかし、学校の清掃がモップがけなどに変わり、この伝統的な動作の経験が完全に失われたことが、子どもたちの運動能力低下に拍車をかけているという。
■高まるスポーツへの影響と指導者の課題
高這い経験の不足は、水泳のクロールストロークでの肩甲骨の使い方や、クイックターンといった技術面だけでなく、「逆さまになることへの過度な恐怖心」というメンタル面にも影響を及ぼす。
体が大きくなってしまった高学年の子どもたちに対し、今から無理に基礎動作を教え込もうとしても、恐怖心や抵抗感から習得が難しいという現実がある。
番組内では、指導者や保護者がこの「高這い」の重要性、そして失われた再学習の機会について真剣に向き合い、現代の運動指導における意識改革の必要性が強く議論されています。
運動が苦手な子も、トップを目指すジュニアアスリートも、まずはこの深刻な「問題の根源」について、ポッドキャストで今井さんの警鐘を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
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編集/まるスポ編集部
