――良く分かります。レスラーは超人ですよね。ところで社会人になった後のお話を教えて下さい。
鈴木:高校卒業後、会社を設立したけど失敗、その後イギリスに2年間留学しました。正直にいうと留学ではなく「遊学」ですね(苦笑)。社会に出て挫折感を味わった時、父から「海外に行ってきたらどうだ?」と提案されました。
――留学先がイギリスだった理由はなんでしょうか。
鈴木:当時、聞いている音楽がアメリカよりもイギリス寄りでした。ミュージカルとかエンターテイメントが好きで自分に合っているものがイギリスにあった。言葉を覚えたい、というより「本物に触れたい」気持ちが強かったですね。
アメリカは何もかも大きくてダイナミック、対してイギリスはインテリジェンスでクールな感じがしました。あの頃の自分は、それを求めていたのかもしれません。
――それで約2年間イギリスで生活していたのですね。
鈴木:実は1年過ぎた時、イギリスのホームオフィスに面接を要求されて行ったら、「君は全く英語の勉強していないから強制送還だ」と言われました。
――日本に帰ることになったのですか?
鈴木:実はその時期イギリスで飼っている猫が病気になりました。イギリスは大きな動物愛護団体が5つ存在するほど動物を大切にする国です。それで猫の治療のため滞在するビザが半年延長になりました。
――動物の治療で滞在ビザが延長になるのはスゴイですね。
鈴木:なんの躊躇もなくビザ半年延長のハンコを押してくれましたよ(笑)。
――その半年間、英語をみっちり勉強したのですか?
鈴木:しないですね(笑)毎日、ミュージカルやコンサート、映画鑑賞していました。あとはイギリスに住む日本人の「ミュージカルのコンサートチケットを取ってほしい」「ファミコンの取付けをして欲しい」と言った御用聞きをしてお小遣いを稼いでいました。
――映画はすべて英語ですよね?
鈴木:会話の中身は分かりませんが、観たい映画なので内容は理解できました。
――なるほど。その2年間のイギリス生活を経て日本に戻り、改めて起業したのですか?
鈴木:しませんでした。イギリスから帰国し「なぜ自分は社長になりたいのか」と自問自答しました。もともと「社長になりたい」という気持ちと直結してくるのが「お金」。
今でこそテレビドラマで不倫が事件の原因になっていますが、当時の火曜サスペンス劇場等はお金にまつわること、例えば相続で人が殺されたりする内容が多かった。それを観て「お金にコントロールされるのではなく、お金をコントロールしないとダメだ」と子供ながらに思いました。
そうならないためには「総理大臣になるか、社長になるかの二択しかない」と(苦笑)。