競走馬は人間と同様に容易に熱中症にかかってしまう(写真はイメージ)
世界規模で加速する異常気象と地球温暖化。国連が「地球沸騰化の時代」と警告を発して久しい現在、その猛威はあらゆるスポーツやエンターテインメントのあり方を根底から激変させている。日本中央競馬会(JRA)が来年から、夏開催の1日のレース数を従来の12から「7」へと大幅に削減する方針を固めたことが一部報道で明らかになった。実質的な「真昼の競馬の回避」とも言えるこの異例の決断の背景には、世界的な気候変動と、私たちが知る由もない「競走馬の切実な肉体的限界」が存在する。
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報道によると、JRAは人馬の負担軽減と熱中症対策として、夏の最も気温が高くなる時間帯のレースを休止する方針だ。これに伴い、最初のレースの発走は「午後3時以降」へと大幅に後ろ倒しされ、1日の総レース数は激減する見通しである。
競馬ファン以外からすれば、「アスリートである競走馬なら、多少の暑さは耐えられるのでは?」と思われがちだ。しかし、事実は正反対である。実は馬という動物は、「寒さには非常に強い一方、暑さや高い湿度にはとても弱い」という極端な生態を持っている。
馬の祖先はもともと欧州などの涼しい気候の地域で育まれてきたため、近年の日本の夏のような「高温多湿な気候」は、遺伝子レベルで体に巨大な負担をかける。さらに、約500キロの巨体の半分以上が筋肉であるため、走ることで体内に膨大な熱がこもりやすく、人間と同様に容易に熱中症にかかってしまう。そのため、夏場の競馬開催は徹底した体調管理や環境の整備が欠かせない状況となっている。
この「夏のスポーツ運営の危機」は、日本国内だけの問題ではない。世界に目を向けば、世界的な異常気象により、欧州の競馬界でも記録的な熱波でレースが中止になる事態が相次いでいる。また、サッカーのワールドカップ・カタール大会が過酷な夏の暑さを避けるために史上初めて「冬開催」にシフトした事例や、オリンピックのマラソン競技が暑さ対策で直前に開催地を変更せざるを得なくなった事例など、今やスポーツ界全体が地球の気候に降伏し、命を守るためのシフトを余儀なくされているのが世界的なスタンダードだ。
日本でも、高校野球(甲子園)が一部日程で最も暑い時間帯を避け、試合を「午前の部」と「夕方の部」に分ける「2部制」を導入し、Jリーグが6月から9月の間は原則としてナイトゲームのみで日程を組むなど、対策が急ピッチで進んでいる。JRAが踏み切る「日中のレース大幅カット」という決断は、まさにこの地球規模の危機に立ち向かうための必然の流れと言える。
削減されるレースは別の時期の平日に振り替えられる予定だが、国の法律上の承認が必要となるなどハードルも残されている。「夏の昼にビールを飲みながら楽しむ競馬」という、長年親しまれてきた日本の夏の光景の変貌。それは単なるギャンブルのルール変更ではなく、地球温暖化によって、私たちの『週末の娯楽』そのものが強制的なアップデートを迫られているという、深刻な社会の縮図なのだ。
記事/まるスポ編集部
