幼少期の妃南は姉たちを巻き込みながら何事にも挑戦した
スターダムの未来を支える18歳のファイター・妃南。彼女の笑顔の裏には、三姉妹の末っ子として育ち、双子の姉・吏南と共にプロレスの世界へ飛び込んだ少女時代がある。無邪気で好奇心旺盛な少女が、どうやってリングの中心に立つ存在へと変わっていったのか――その始まりは「プロレスごっこ」から始まった。(取材・文/大楽聡詞 文中敬称略)
三女の末っ子、好奇心で走り出した子ども時代
――小さい頃、どのようなお子さんだったんですか?
妃南:無邪気というか、好奇心旺盛な子でしたね。今までやったハンドボール、柔道、プロレスも、全部私が「やりたい」と言い出して、姉の羽南と双子の姉である吏南を巻き込みました。言い出しっぺは全部私です。
今は吏南の方が、口が達者で明るい印象があると思うんですが、最近卒園式の映像を見たら、表彰状をもらった後に将来の夢を一人ずつ言うところで、吏南より自分の声の方が大きくて、メチャクチャはっきり「ハーイ!」と声をあげて喋っていましたね。吏南は逆に小さい声で「はい…」くらい。小さい頃は、どちらかというと私の方が明るかったみたいです。
――今も真面目でおしとやかという印象ですが、「マイクパフォーマンスをするようになってから、意外と喋る子だったんだ」という印象に変わったファンも多いと思いますよ。
妃南:そうなっていたら嬉しいです。デビューして時間が経ってから、印象が変わったと思います。
――フューチャー王者となってからの発言は「10代なのに堂々とした王者」という印象です。
妃南:私は結果がついてこないと自信が持てないタイプなんです。デビューが2018年10月でキャリアは積んでいるのにベルトを獲得できない時期が長かった。「結果がない状態で自信がなかったんだ」と自己分析しています。
――客観的に自分を見ているんですね。
妃南:それは末っ子だからかもしれません。「いつも一歩引いて全体を見るタイプ」というか。姉妹でケンカも、私は全然しないタイプ。
羽南と吏南がよくケンカするのを、仲裁すら入らず、ただ見ているだけでした。ケンカが大きくなっても、自分が一歩引くことが多かったので、あまり感情をぶつけ合うようなことはなかったですね。
――幼少期からハンドボールや柔道をされていたというのは、やはりアクティブな子供だったからですか?
妃南:そうですね、昔は今以上にアクティブだったと思います。「やる」と決めたら、悩む時間は無く、“すぐに行動する”タイプ。やりたいと思ったらすぐ親に相談して、「じゃあやろう」という感じでした。
――ハンドボールや柔道を経て、なぜプロレスだったんですか?
妃南:ハンドボールは母が、柔道は父がやっていたので、どんなスポーツかはやる前から分かっていたんです。でもプロレスは父が大好きで、初めて観に行くまで「プロレスとは何か」を全く分かっていない状態でした。5歳か6歳くらいの時に初めてスターダムの試合を見たのですが、もう衝撃が走りましたね。
