【カヌー 古谷利彦】国民の皆さんの不安を少しでも無くし安全安心の中で大会を開催する。それが私たちの使命(前編)

――コロナ禍で組織委員会の皆さんが集まることも難しいと思います。1年延期になり準備等、現在の状況はいかがでしょうか。

古谷:4月に東京2020全体のプレイブックができました。内容は選手・関係者・メディア・スタッフ・観客の方々すべてに向けて「このようなコロナ対策をします」というルールブックです。今後は、これを元に各会場が細かい対応を詰めることになります。

――オリンピックまで100日を切りました。先月、海外観客の入国は認めないと代表者協議での決定が発表されましたね。

古谷:本当に残念なことです。それを発表しなければいけない橋本聖子会長を始め忸怩たる思いだったでしょう。オリンピックは競技するためだけではなく、そこで生まれる国際交流や国家交流もあげられます。そういった点では海外から観客を迎えられないというのは残念であります。

 ただ、この判断に至ったのは、国民の皆さんの不安を少しでも無くして安全安心の中で大会を開催する。バッハ会長も話していましたが「犠牲としての部分」だと思います。

――会場ごとに「どのくらい観客席に人が入れるのか」は決まっていますか?

古谷:まだ決まっていません。カヌーに関しては観客席に1万人以上入ることが可能です。カヌーのチケットもかなり人気があったと聞いています。国内の方に1人でも多く会場に足を運んでいただければと考えています。そのための準備を日々進めている最中です。

――海外から観客の方の来日が難しいとなると、海外の選手も寂しい思いをしますね。

古谷:そのためには「フェアな環境」でできること。たとえ海外のお客様が来られなくても、日本の観客の方々は日本人だけを応援するわけではなく、世界中の選手たちにエールを送ってくれると思います。

 観客の皆さんに競技を楽しんで頂くことは重要なことですが、その行為が選手にエールを送ることにつながると思います。そのためにコロナ対策を徹底し、会場に足を運んで下さる方が不安な気持ちにならないように、我々関係者一丸となって万全を期するのみです。

<後編につづく>

古谷利彦(ふるや としひこ) 
石川県小松市生まれ。同志社大学在学時にカヌーを始める。
大学卒業後は高校教員となり、地元小松市でカヌー選手の育成に努める。
指導受けた生徒には、東京五輪代表に内定している松下桃太郎選手も。
カヌー指導者として功績が評価され、1993年国際審判の資格を取得。
現在、JOC(日本オリンピック委員会)理事公益社団法人、日本カヌー連盟 専務理事、オリンピックパラリンピック組織委員会 カヌーのスポーツマネージャーを担当。

取材・文・写真/大楽聡詞

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