2028年ロス五輪のカヌースラロームでメダルを狙う長洲百香選手(左)と母・美穂さん
主体性を育む「問いかけ」と「考える癖」

子どもが失敗しないように、親が先回りして答えを与えたり、つまずきを取り除いたりすることもある。しかし、美穂さんは、百香選手が問題にぶつかるたびに「じゃあ、どうやって乗り越えようか」と問いかけ、本人が解決策を見つけるまで見守ってきた。
その結果、百香選手は成長するにつれて、指示を待つのではなく、自らの頭で深く考えて行動するアスリートへと育っていった。美穂さんは、成長した娘の姿をこう振り返る。
「『夢は諦めなければ叶う』ってよく言いますけど、本人はただ夢を口にするだけじゃなくて、すごくちゃんと考えて行動しているんですよね。大学に入ってからも講義に出て体の仕組みや筋肉の作り方を学んだり、専門的な知見を持っている方に自ら話を聞きに行ったりしていて。栄養面やフィジカル面も含めて、自分に必要なものを自分で考えてトレーニングに取り入れているんです。そういう姿を見ていると、壁にぶつかったときに『じゃあどう乗り越えようか』と自分で考える癖を幼い頃から教えておいて良かったなと思いますし、夢を形にしてほしいと心から応援しています」
3歳の頃、悔し涙を流す娘に「どうしたらいいと思う?」と問いかけた美穂さん。その言葉は、百香選手が壁にぶつかるたびに「いまの自分に何が必要か」を考え、行動する力へとつながっていった。
母が娘に与えたのは、答えではない。課題と向き合い、自力で乗り越えるための「問い」だった。
(了)
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