日米が抱える共通の課題と、草の根活動の重要性
イベント終了後、斎藤氏は充実感に満ちた表情で取材に応じた。
日米の最高峰の舞台を知る男がグラウンドで見つめていたのは、子どもたちが体で表現した純粋な“楽しさ”だった。PLAY BALLの意義を踏まえた上で以下のように振り返った。
「このイベントはこれから野球へのスタートラインに立つ子どもたち、あるいはまだ馴染みの薄い子どもたちが対象なので、動きがどうとかではなくて笑顔だったり親御さんとの触れ合いといった楽しさが一番目についたし、一番良かったところだったと思います。
この延長線上にプロ野球とかメジャーリーグがあるんだなというのを感じました」

現代の野球界において、競技人口の減少は避けて通れないネガティブな話題として語られがちである。しかし、この日のグラウンドに溢れていた熱気は、確実に野球の未来に向けた可能性を照らしていた。
「野球人口の減少というのは、日本もアメリカも同じ課題を抱えています。だからこそ、日本のプロ野球チームとMLBがこうやって手を組むこと自体が素晴らしい企画だと思います」
斎藤氏は現役時代、MLBで7年間プレーし5球団を渡り歩いた。その経験を活かし、解説業やイベントでのトークショーなど様々な形で野球の普及や発信に努めてきた。その中で抱いている本音も明かしてくれた。
「個人的に何かできるかというと、なかなか一人では難しいのが本音です。野球というスポーツの性質上、どうしてもある程度の広さのグラウンドや、多くの道具が必要になってきますからね。
実は個人的にカンボジアへ行って野球教室を2回ほど開催したことがあるのですが、そこでもやはり(環境や道具を整えることの)難しさを痛感しました。
だからこそ、私一人の力では企画しきれないようなこうした大きな活動に、声をかけていただき、協力させてもらえることが一番ありがたいです」

斎藤氏の言葉の端々からは、外的要因ではあるが野球を取り巻く社会課題の変化に向けた強い危機感が滲んでいた。
「ニュースでも見ましたが、今の少子化のスピードは想像以上に早い。だからこそ、こうした地道な草の根の活動を続けていくしかありません。呼んでいただける限り、これからも全力で協力していきたいと思っています」
