日本チームを初のベスト8、自身は6度目の頂点へ。9月、ドイツで世界に挑む
前人未到の「通算5度の世界大会得点王」を達成し、日本スポーツ賞優秀選手にも選出された木村亮太選手。平日は「学童保育の指導員」として毎日80人近い子供たちの面倒を見ながら、朝夜のジム通いと動画研究を欠かさない。目前に迫る世界選手権での歴史的挑戦、そして彼が背負うカヌーポロ界の未来への危機感とは…(取材・文:大楽聡詞)
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第7章:世界大会で5度の得点王――背負うのは「カヌーポロの未来」
――木村選手は世界の舞台で、U-21時代を含めて通算5度(シニアで4度)も「世界大会得点王」という前人未到の偉業を達成されています。2024年には第73回(2024年度)日本スポーツ賞 優秀選手にも選出されました。木村選手がそこまでして人生を捧げる“カヌーポロ”という競技の最大の魅力とは何でしょうか。
木村:カヌーポロは、とにかく「多方面に伸び代(キャパシティ)があること」が最大の魅力です。
ダッシュ力、ターン技術、艇の操作スキル、そして戦術の理解度。例えば、身体のスピードがそんなに速くなかったとしても、艇を操るテクニックがズバ抜けていればそれが強みになる。
逆にフィジカルが弱くても、戦術の理解度が高くて一瞬の隙間を突くポジショニングができれば得点を量産できる。
あらゆるプレイスタイルに無限の選択肢があり、1つ1つのステップで「昨日よりこれができるようになった!」という圧倒的な達成感を感じやすい、非常に奥深いスポーツなんです。
それはトップアスリートだけでなく、レジャーとして楽しむ子供たちや初心者にとっても全く同じで、誰もが成長の喜びを感じられる素晴らしい競技です。
――観客の視点から見た時の、カヌーポロの見どころはどこにありますか?
木村:カヌーポロは、ゴールキーパー専門の選手が固定されているわけではなく、ディフェンス側のフィールドプレイヤーが入れ替わりでゴール下に入ってキーパーを務めます。
そのため、オフェンス側は常に「5人対4人」という数的優位を作り出しながら攻めることができる。
攻めている時も常にカウンターでターンオーバー(※)のリスクを考え、守っている時もいかに網を張ってボールを奪いに行くかという、息をもつかせぬスピーディーな攻防が魅力です。
(※攻守が入れ替わる瞬間のこと)
試合時間も前半10分、ハーフタイム3分、後半10分と、非常にコンパクトで観戦しやすい。
世界トップレベルの試合になると4対4などの1点を争う大接戦になり、試合の中のダイナミックな波や熱量が、観客席にもダイレクトに伝わりやすい競技です。
