日本チームを初のベスト8、自身は6度目の頂点へ。9月、ドイツで世界に挑む
――最後に、“これからの夢”を教えてください。
木村:求められる限りは、どこまでも現役プレイヤーとして世界のトップを走り続けたいです。
それと同時に、私たちが現役のうちにこの競技の「普及」に全力を尽くさなければ、日本のカヌーポロの未来が萎んでしまうという強い危機感を持っています。
そのため、現在は監督・チームメイトと共に一般社団法人さくらインヴァースを立ち上げ、学校のカヌー教室の講師を務めるなど、カヌーポロの認知度向上と競技人口の拡大に力を注いでいます。
実は、私が中学校の卒業アルバムに、将来の夢として「カヌーポロのプロ選手になりたい」と書いていたんです。当時はもちろん、現在の日本にもカヌーポロのプロリーグやプロ登録という仕組みは存在しません。
しかし、チームの監督から言われた言葉が私の胸に深く突き刺さっています。
「どのスポーツでも企業に支えられて立派に戦っている選手は、たくさんいる。残念ながら今のカヌーポロにその土壌はまだない。カヌーポロを通して、自分の力でお金を生み出し、『職業はカヌーポロです』と胸を張れるプロ選手になることを目指してほしい。競技そのものの未来を切り拓くこの道は、易しくない。世界の頂点に立つ君が成し遂げられなければ、きっと誰にも成し遂げられない。第一人者として、君が立派にやってみせれば、その背中を見て、次の誰かが続いていける」と。
私は今、その本当の意味での「プロ選手」になるために、人生のすべてを賭けて動いています。日本のカヌーポロ界の最先端を走る人間として、自分が道を切り拓き、この生き方をどれだけ鋭く尖らせることができるか。
それが次の世代、そしてカヌーポロという競技の10年後、20年後の未来の光になると信じています。私自身のこれからの挑戦に、誰よりも私自身が一番期待しています。
(了)
プロフィール
木村亮太(きむら りょうた)1992年3月28日(34歳)千葉県出身。168cmの小柄な体型ながら、卓越した戦術眼と強靭な体幹を武器に活躍するカヌーポロ日本代表キャプテン。幼少期にカヌーを始め、ジュニアオリンピックで優勝。高校時代はボール技術と身体の軸を鍛えるため、あえて水球の強豪校・千葉県立幕張総合高等学校に通った異色の経歴を持つ。カヌーポロ復帰後はU-21時代を含め通算5度の世界大会得点王に輝き、第73回(2024年度)日本スポーツ賞 優秀選手を受賞。全日本選手権MVP 日本人最多6回。競技普及のための法人設立やカヌー教室の講師も務めるなど、人生を賭けて「真のプロ選手」としての道を切り拓いている。
編集/まるスポ編集部
写真/本人提供
