アクションプランは“選択と集中”がポイントに
講義後半では、メインテーマである目標設定へと移っていく。目標を立てるにあたってまず整理したのが、“目的”と“目標”の違いである。
「目的は最終的に成し遂げたいこと。目標はそこへ行くための道しるべです」
なぜ野球をするのか。何のためにプロ野球選手になり、その先ではどんな未来を描くのか。単に「一軍で活躍したい」だけではなく、「その先に何があるのか」を考えることが重要だと坂田氏は述べた。
「一軍でレギュラーを獲ったら自分の生活はどうなるのか。家族はどんな表情でどんな生活になるのか。 友達は?高校の恩師は?さらにはファンの方やチーム、そして野球界や社会がどう変わるのか。
スポーツにはいろんな力がありますよね。例えば埼玉や所沢の地域に一体感や活力が生まれますし、絆を育む力がスポーツにはあります。
つまり、プロ野球選手である皆さんには社会を変える力があるんです。そんなことも頭の片隅に入れながら『自分は何のために野球をしているのか』『何のためにプロ野球選手になったのか』といった部分に想いを巡らしてほしいと思います」

その上で選手たちは自身の現在地と数年後の理想像を書き込み、今季や数年後の目標を数字を交えながら具体化していく。真剣な表情でペンを走らせながら、人財開発スタッフと確認しながら進行した。
目標を立てた後は、その実現に向けたアクションプラン作成へ。ここで坂田氏が伝えたのが、“選択と集中”の重要性であった。
目標との間には必ずギャップが生まれる。しかし、その課題を全て同時に解決しようとしても、人間の脳には限界があると説明する。
「さまざま課題が目につくと思うけれども、時間もパワーもそして脳も有限です。限界を超えて取り組もうとしても脳が追いつかず拒絶してしまいます。
なので選択と集中が大事になります。ただ、絞るってなると手抜きとかサボりに思えてしまうこともあるかもしれません。
でもこれは、脳科学的に最良の形で上達するための戦略なんです。 絞ることは手を抜くということではないんです」

選手たちは目標に沿ったアクションプランを自ら考え・設定しながらワークシートを埋めていった。
アクションプラン設定に向けて設けられたワークの時間は30分。「おそらくこの時間だけでは仕上がらない」とした坂田氏は、完成に向けてこのようにおさらいした。
「先ほど伝えた、他力をうまく活用してください。その紙を持って『こんな目標を立てたのですがどうでしょうか』『こんなアクションプランを立てたんですけどどうですか?』といった会話をコーチやトレーナーともぜひしてください。やるかやらないかで精度が大きく変わってきます」
最後に選手たちから初回を終えての気づきを数名シェアした。4人ほど述べた中で共通していたことは、言うだけではなく書くことでより目標や行動への意識が増したというものだった。
安藤銀杜(ぎんと)選手は「目標を書くことで何が重要な項目なのかが分かりましたし、期限を決めることで毎回の練習の質や取り組み自体が変わるので、自分にとってすごくいい時間になりました」と、濃密な研修を振り返った。

今回参加したルーキーは目標とアクションプランを定めた後、人財開発担当との面談を通じて進捗具合を確認する。“育成のライオンズ”が誇る源泉が今季もチームの裾野を拡大させ、常勝軍団の礎を築く。
(了)
