
10月19日、地元・北海道石狩市。母校での凱旋大会に臨むタイチが、これまでの波乱万丈なレスラー人生を振り返る
――パチプロではどのくらい稼いでいたんですか?
タイチ:1日で10万円とか20万円とか。そのせいで感覚が完全に狂ったね。遊びに使ったり、次の日の軍資金にしたり。当時は銀行口座も持ってなかったので、ガキのくせに財布には常に30万か40万円くらい入れてたよ。
――そこから、再びプロレスラーを志すきっかけは何だったのでしょう?
タイチ:いつも通りの生活で、ラーメン屋の帰りにコンビニへ寄ったんだ。そこから知人の家までは2~3分くらいの距離なんだけど、その間に40万円入った財布を落とした。財布が無いことに気づいてすぐ戻ったけど、もう全部なくなってた。
終わった…と思ったその瞬間、“謎の自分”が降りてきた。「もうこんな生活やめろ」って言われてる気がしてさ。「俺、本当は何がやりたかったんだっけ?」って、もう一人の俺が問いかけてきたんだ。
――失ったものよりも、そこで取り戻した方が大きかった?
タイチ:取り戻した方が大きかったよ。「あれ?そうだ、俺こんなことやりたくて高校3年間頑張ったんじゃねぇか」って思い出した。気づいたら21歳。もう一回リセットして、本当にやりたかったことをやろうと。久しぶりに実家に帰って「もう一度プロレスラーになりたい」と家族に頭を下げて、そこから鬼の自主練習が始めたよ。