
香港のTRCレーシングチームは、宮城県のスポーツランド菅生で開催された「Formula Drift Japan 2(FDJ2)」第3戦の最終ラウンドに、Ryan Tsui、Hubert Liに加え、14歳の新人ドライバーJulian Kwok(ジュリアン・クォック)をエントリー。突発的な豪雨という極限のコンディション下でのデビュー戦となったジュリアンは、若さゆえの勇気と潜在能力を披露。これは、同チームが長年取り組んできた「技術の伝承」と「精神の育成」を柱とする若手育成プログラムの成果を裏付ける形となった。TRCは今回の挑戦を通じて、ドリフト競技の次世代育成と普及という使命を改めて強く示した。

豪雨が試した新人ドライバーの適応力
事前トレーニングは快晴のドライコンディションで順調に進行し、ジュリアンは先輩の指導のもと基礎動作を習得。しかし、決勝当日の突発的な豪雨により路面状況は一変、コントロール難易度が跳ね上がる極限の状況でのデビューとなった。この難局に対し、チーム代表のJames Tang(ジェームズ・タン)は、新人ジュリアンを徹底サポート。タイヤ空気圧の調整からメンタルケアまで細かく指導し、「動作そのものに集中を。ゴールで皆が待っている」という力強い言葉で若きドライバーの背中を押した。
14歳が証明した潜在能力と体系的育成
豪雨のウェット路面という経験不足から予選突破は逃したジュリアンだが、極限状況下で見せた冷静さと標準化されたドリフト動作は観客に強烈な印象を残した。マネージャーのジェームズは、「14歳でFDJ2の舞台に立てた事実は、ジュリアンの努力と潜在能力を証明するもの」と高く評価。TRCチームが構築してきた確立された経験の継承システムこそが、TRCの育成モデルの中核的価値であると強調した。技術とスポーツマンシップを未来へと受け継いでいく決意を示した。
ドリフト普及と次世代育成を核心的使命に
TRCは長年にわたりドリフト競技の普及と次世代の育成を核心的使命として活動。「師弟制度による技術伝承」と「スポーツへの情熱とチームワーク」を信念に掲げ、一丸となって力を結集。若手の成長には時間の積み重ねとチームの支援が不可欠であると確信している。マネージャーのジェームズは「ドリフトは競技であると同時に、情熱に満ちたライフスタイル」と語り、ジュリアンのデビューを契機に年齢や経験を問わずこの魅力を伝え、ドリフトファミリーを広げていく展望を示した。若手ドライバーのプラットフォーム拡充を通じ香港ドリフトシーンを国際舞台でさらに高める意欲を見せた。
記事/まるスポ編集部