
「大和ハウスプレミストドーム」を運営する札幌ドームが2024年度の収支を発表した。昨年度は約4,300万円の黒字であることが判明した。
昨年は年間2億5000万円のネーミングライツ契約の締結に加え、大型コンサートをはじめとするイベント開催数が増えたことなどを主な要因としている。
日本ハムがエスコンフィールド北海道に移転した23年は、その影響を直に受けた形となり約6億5,000万円の赤字を記録していた。
ただ、今回黒字が出たとはいえ決して楽観視はできない模様。
イベント誘致施策として、23年に約10億円を投じて巨大暗幕で場内を仕切る「新モード」を導入したものの、初年度は数件で昨年度も伸び悩んでいるとされている。
昨年度黒字となったもう一つの要因には、札幌市の「スポーツ振興基金」活用があった。
アマチュア大会等におけるドーム使用料を減免し、その減収分を基金を通じて札幌ドームの補填に充てており、それが約1億8500万円だという。
日本ハムの移転による代償はやはり大きいものがあった。
ドームの使用料に加えて広告や物販・飲食といった収益の多くをドーム側が回収し、人工芝や演出・サービス面に関しても球団の要望が通りにくい状況が長らく続いていた。
収益構造の見直しや観戦体験の快適性向上などを目指し交渉を続けてきたが、折り合いもつかなくなったため自前の新球場建設へと至っていた。
札幌ドームにとって年間約60試合以上行われる興行を失い、かつ1試合単位でも数万人もの観客を動員する日本ハムの抜けた穴を埋めるのは、とても厳しい道である。
昨年度は黒字を出したが、今年度以降“自力”で運営をし続けることができるのか。それは運営側の努力にかかっている。
記事/まるスポ編集部