昨年のごちゃまぜカヌー大会で参加者と共に楽しむ岩渕琢磨氏(真ん中)
「諦めなくていい」スポーツがもたらす心の変化
大会の現場では、参加者の心に大きな変化が生まれている。実行委員長の長洲美穂さんは、前回の大会で寄せられたある参加者からの言葉が忘れられないという。
「お体が弱くなって『もう自分にはスポーツなんて無理だ』と諦めていた方が、『カヌーだったら自分も諦めなくていいんですね。これからは自分もスポーツをやりたいと言っていいんですね』とおっしゃってくださいました。一度諦めかけた気持ちを後押しできたことは、本当に嬉しかったです」
また、月1回開催されている初心者向けのカヌー体験教室(大人2,000円・子ども1,000円)には、大会の広がりを通じて視覚・聴覚に障がいのある方や杖をついた方なども足を運ぶようになった。誰もが気軽にチャレンジできる「ユニバーサルな環境」が存在することを示す貴重なイベントとなっている。

チームビルディングとしての「団体の部」と今後の展望
今年9月に開催される大会で、特に注力されているのがラフティングボートによる「団体の部」だ。最大6人で乗り込むボートは、1人がどれだけ力強く漕いでも、チーム全員の息が合わなければまっすぐ進まない。相手の漕ぐ力や特性を感じ取り、声を掛け合って進む必要がある。
この特性は、企業における「チームビルディング研修」や「合理的配慮を学ぶ研修」としても絶大な効果を発揮する。障がい者雇用で働くスタッフと事業所の管理者が一緒にボートに乗り、応援を受けながらワンチームで漕ぎ進む姿は、参加者やご家族にとっても大きな勇気と喜びを生んでいる。
実行委員長の長洲さんは最後にこう締めくくった。
「私はシンプルに、カヌーという競技をもっと広めたい、そして『あなたは来ていいけど、あなたはダメ』という線引きを無くしたいだけなんです。お金がある人や運動神経が抜群な子だけのものではなく、誰でもウェルカムな場を作りたい。思い描いた理想は、手段を選べば必ず実現できると信じています」
エントリーの締め切りは8月22日。水上から広がる「ごちゃまぜ」の輪は、これからの地域社会をより温かく、誰もが生き生きと暮らせる場所へと変えていくはずだ。
(了)
<インフォメーション>
9月5日(土)・6日(日)に千葉県佐倉市「佐倉ふるさと広場」で開催される「ごちゃまぜカヌー大会」。「障がいのある人もない人も、初めてさんも大歓迎」を合言葉に、障がいの有無や世代、経験を問わず誰もが同じフィールドで体験を共有し、互いの挑戦を称え合うユニバーサルなスポーツイベントです。申し込みは「2026ごちゃまぜカヌー大会申込フォーム」から。
