“水泳議連”の挑戦を今井礼子氏はどう見るのか?(写真/高橋由理)
多様なアプローチと選択肢の必要性
指導のあり方は一様ではない。例えば支援学校(特に中学部以上)などでは、目標設定がしやすい「泳ぎ」に特化した指導になりがちな側面もあるという。
これに対し、今井氏が理事長を務める香川県パラカヌー協会(※今井氏の夫はパラカヌー元日本代表)が地元の支援学校でカヌーの体験会を実施したところ、生徒たちから笑顔が溢れ、教員からも「体育の授業の新しい選択肢になった」と好評を得た。
水に親しみ、その特性を学ぶアプローチは、水泳だけに縛られる必要はないという好例だ。

水泳議連に求められるもの
今回、水泳議連が「水難事故ゼロ」を掲げて構造的な問題に目を向け始めたことに対し、今井氏は期待を寄せている。
「政治がようやくこの問題に目を向け始めたという意味では、とても期待しています。ただ、大切なのは特定の形式に縛られることなく、地域の実情に合わせた安全教育の再設計へと確実につなげていくことだと思います」
国に求められているのは、地域ごとの格差や現場の過酷な実情をしっかりと見つめ、子どもたちの命を守るための柔軟な仕組みづくりである。
「昔は当たり前だった水泳授業」が変化の時を迎えている今、現場の切実な声に耳を傾け、真に実践的な教育をどのように取り戻していけるか、今後の具体的な議論に注目が集まる。
今井 礼子(イマイ レイコ)|スポーツとメンタルのコーチ
香川県出身。95年頃から水泳コーチとして活動を開始。保育施設などへの出張レッスンを開始後、2005年に水泳教室「ひまわり運動ひろば」を設立。保育士・保護者向けの講演会を展開。身体の指導のみならず、オンラインでのメンタルコーチングを通じてアスリートの心をも支える。パラスポーツの発展に深く貢献しており、日本パラカヌー連盟では2021年から強化コーチや強化スタッフを務め、現在は国内クラス分け委員(テクニカル担当)などで活動。香川県パラカヌー協会理事長、香川県パラ水泳協会理事を兼任するなど、地域と世界の架け橋として現場に立ち続けている。
記事/大楽聡詞
編集/まるスポ編集部
