ファンに夢と感動を与えるはずのトップアスリートたちが、なぜ危険な薬物に手を出してしまうのか(写真はイメージ)
バレーボール日本代表の現役選手が国際大会直前に大麻所持で逮捕され、プロ野球・元広島の選手を巡る公判では「球団内での蔓延」を唆す証言が飛び出す――。
ここ最近、日本のスポーツ界を揺るがす違法薬物のニュースが相次いでいる。ファンに夢と感動を与えるはずのトップアスリートたちが、なぜ人生を棒に振るリスクを冒してまで「魔の煙」や「危険な薬物」に手を出してしまうのか。そこには、一般社会からは見えにくいアスリート特有の「3つの歪み」が存在する。
1. 限界寸前のプレッシャーと日常の退屈のギャップ
トップアスリートの日常は、常に極限のプレッシャーと隣り合わせだ。結果が出なければ明日はない。しかし、その緊張感の裏側にあるのは、徹底的に管理された「単調で過酷な練習の繰り返し」という退屈な日常でもある。 この「異常な緊張」と「極端な退屈」の往復の中で、精神的なバランスを崩す選手は少なくない。一瞬で現実からエスケープできる刺激として、違法薬物がその隙間に滑り込んでしまうのだ。
2. 超人ゆえの錯覚と孤立
アスリートは、自分の肉体とパフォーマンスを極限までコントロールすることに長けている。それゆえに、「自分ならコントロールできる」「いつでもやめられる」という過剰な自信(万能感)を抱きがちだ。 さらに、スターになればなるほど本音を話せる相手は減り、周囲には甘い汁を吸おうと近づく人間が増える。今回話題となった「ゾンビたばこ(エトミデート)」のように、近年はSNSや人脈を通じて、警戒心の薄い若い選手へ巧妙にアプローチする密売人の影が絶えない。
3. 罪悪感を麻痺させるコミュニティの闇
元広島の羽月被告が「周囲の選手も吸っていた」と証言した件は、スポーツ界における最も根深い問題を浮き彫りにした。それは「集団心理によるハードルの低下」だ。 狭い体育会的なコミュニティや寮生活の中で、先輩や仲間が「これ、リラックスできるよ」と使っていれば、違法なものであっても「みんなやっているから大丈夫」という歪んだ安心感が生まれてしまう。一度コミュニティ内に染み込んでしまえば、外から見破ることは極めて困難になる。
記事/まるスポ編集部
