カヤッククロスで、ワールドカップ日本人初となる銀メダルを獲得した長洲百香
◼️新種目「カヤッククロス」に見出した可能性
――カヌーを始めた当初から、世界を見据えていたのでしょうか?
長洲:幼稚園の頃から「オリンピックに出場する」のが夢だったので、「オリンピック競技であるかどうかを考えていました。カヌー競技の中でも「体格の劣る日本人として勝てる可能性があるのはスラロームだ」と当時から感じていたんです。
――現在はスラロームだけでなく、新種目の「カヤッククロス」でも世界的に活躍されていますね。
長洲:21歳になり、オリンピックという目標が以前よりずっと現実味を帯びてきました。これまでは「行けたらいいな」という漠然とした夢でしたが、今はどの大会でどれだけのポイントを取ればいいか、具体的な道筋が見えています。
――昨年のワールドカップで日本人初の銀メダルを獲得されました。カヤッククロスにはどのような魅力がありますか?
長洲:カヤッククロスは、1人ずつスタートしてタイムを競うスラロームとは違い、4選手が同時にスタートし着順を競うクロス競技です。
「ぶつかるのが怖い」と言う選手もいますが、その駆け引きも含めて、私は大好きですね。相手との距離の詰め方や、あえて相手に先に行かせてからインを突くような戦略性……。一人で漕ぐスラロームとは違う「対人戦」の面白さがあります。

――戦略次第では、体格差のある海外選手にも勝てるということでしょうか。
長洲:そう思います。本戦は4人一斉の着順争いですが、その組み合わせを決める予選のタイムトライアルでは、選手の純粋なフィジカルの強さがタイムの差となって現れます。
4人で競う本線に入れば、日本人の緻密な戦略次第で十分に戦えます。初めて世界選手権に出た18歳の時、ぶっつけ本番のような状態で7位に入れたんです。その時、昔よくやっていた「兄弟喧嘩」を思い出して(笑)。
――兄弟喧嘩ですか?
長洲:私は3人兄弟の一番上で、下の二人とよく喧嘩をしていたんです。審判(お母さん)にバレないように、いかに上手く立ち回るか……という感覚に近いかもしれません(笑)。その「負けず嫌い」な性格が、カヤッククロスの激しいバトルに合っていたんだと思います。
<後編に続く>
プロフィール
長洲 百香(ながす・ももか) 2005年生まれ、千葉県出身。日本大学スポーツ科学部在籍。小学3年からカヌーを始め、水泳で培った感覚を武器に頭角を現す。2021年よりオリンピック強化指定選手。2025年8月のワールドカップ・カヤッククロスで日本人初の銀メダルを獲得すると、2026年3月のアジア選手権ではU23女子カヤックの個人・団体で2冠を達成した。現在は大学で戦術論を学び、競技に「知略」を取り入れる次世代のエース。2026年9月のアジア競技大会、そして2028年ロサンゼルス五輪でのメダル獲得を射程に捉えている。
記事/大楽聡詞
編集/まるスポ編集部
