25年度も黒字見込みとされる札幌ドーム(写真はイメージ)
大和ハウスプレミストドームを運営する第三セクター「札幌ドーム」の経営が、新たな局面を迎えている。
2026年3月期決算の利益が前期比で大きく伸びる見通しであるとされている。
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全国的にも“巨大施設の経営難”の象徴として注目を集めてきた札幌ドーム。
年間稼働の大半を占めていた野球興行が消えたことで、スタジアムビジネスにおけるリスクが顕在化していた。
22年をもって北海道日本ハムファイターズが本拠地をエスコンフィールド北海道へ移転した初年度(23年)は、同ドームは主力の収入源を失ったことから約6億5,000万円の赤字を出していた。
しかし24年度は一転、約4,200万円の黒字を計上。その要因として札幌市の「 スポーツ振興基金」活用があり、アマチュア大会等におけるドーム使用料を減免しその減収分を基金を通じて札幌ドームの補填に充てるというもの。
稼働率も23年度に62.6%まで落ち込んだが、24年度には70%台まで回復。25年度も70%を超える見込みである。
しかし今回の黒字見込みは、単なる一時的回復ではない可能性がある。
背景にあるのは、イベント誘致の強化と収益構造の転換だ。近年はeスポーツの世界大会や大型イベントの開催、さらにはネーミングライツ契約の締結など、新たな収入源の確保に成功。これらが収支改善に寄与したとみられる。
2024年度には黒字化を達成し、経営再建の“第一歩”を踏み出しているが安泰でない理由が次にある。
収益改善を受けたことから、「札幌ドーム活用促進費」を廃止する予定。
札幌市は26年度にドーム利用時の費用を補助し、ドームの利用を後押しすることを目的として同制度を24年度から導入していた。
なお、24年度黒字の要因となった補助制度は26年度も継続する模様である。
経営面で改善が見られ、早くも連続黒字を達成見込みとなった札幌ドームだが、課題は依然として大きいとされている。
現在の黒字は現状ネーミングライツでの収入はあるが、イベントなどのスポット収入に依存する側面が強く、安定的な収益基盤の構築には至っていない。
スタジアム経営において重要なのは「定期収入」であり、日常的に人が集まる仕組みづくりだ。
その点で注目されるのが、札幌ドームの次なる戦略である。観光需要の取り込みや新規事業の開発、さらには施設の多用途化など、従来の“貸館ビジネス”からの脱却が進められている。
2001年に開業し、ワールドカップやラグビーワールドカップなど国際大会も開催してきたこの施設は、可動式芝など世界的にもユニークな機能を持つ。 だが今、その価値は「競技開催」だけでは測れなくなっている。
“稼ぐスタジアム”への転換は実現できるのか。札幌ドームが今後存続するためには、補助金に依存しないための持続的な経営が必要となる。
記事/まるスポ編集部
