
6月9日、東京・後楽園ホールで開催された『DDTプロレス× 新日本プロレス一面対抗戦~スーパー・ササダンゴ・マシン vs 矢野通~』。
【新日本BOSJ】MAO、今後の参戦に意欲――「新日本にしれっと来たい」
両団体が全面ではなく“部分的”に対抗する。そんな前代未聞の試みは、開始前からすでに熱を帯びていた。
「これは矢野とササダンゴの一騎打ちだけではない。10年前のDDT両国大会で棚橋弘至がHARASHIMAとの試合後、「全団体、横一列で見てもらったら困る」の発言から続く両団体の因縁にケリをつけるための闘いだ」と、私は勝手に思っていた。

試合開始前、“応援合戦”と称して男色ディーノと高橋ヒロムが登場した瞬間、場内はひとつの演劇を見るような笑いに包まれた。プロレスでこんなにワクワク感を味わうのは久々だった。
そして、いざササダンゴと矢野が対峙すると、リング上には10年越しの思いを背負い熱い火花が散る…と思いきや、須見和馬と永井大貴によるセコンド同士の対決、アントーニオ本多とYOHによる「創作昔話ごんぎつね」マッチが始まり、この時点で「一面対抗戦」はもはや破天荒な展開に突入する。
続くササダンゴの“煽りパワポ”で提示された「コーナーマット・オン・ザ・マットルール」。倍速、スローモーション、寸劇のような攻防に、笑いと混乱が交錯し、観客も試合の一部になっていた。
だが、2015年の因縁を再確認するYOHの“心の声”がリング上の空気を一変させる。「10年前の借りを返してない」と。