24日に行われた中日ー阪神戦（バンテリンD）。最終回で物議を醸す出来事が起きた。
発端は阪神の先頭・渡邉諒が打席に立っていた時。投手の松山晋也がフルカウントから投じた低めの直球がボール判定となり、四球で出塁となった。
しかし、球審は腕を一度上げてストライクと判定したような動作を見せたため、中日・井上一樹監督はベンチを飛び出し、小林和公球審へ抗議に出た。
井上監督は「審判が手を上げたように見えた。なので『いやいや、今手を上げたでしょう』って抗議にいった。判定を言うつもりはないけど、ちょっと手が上がったように見えたんで『ストライクだとこっちは思いましたよ』という話をしただけです」と説明。
小林球審は試合後にこのやりとりを明かしていた。
「先にボールと言っていますと。『（井上）監督、ストライク、ボールに関しては抗議できないので、下がってくれ』と言って井上監督は『わかった』と」
ただ、これで終わりどころか後の伏線となってしまう。この出塁を機に1点を返し4-5の1点差に詰め寄る。
なおも2死2塁と一打同点のシチュエーションに、敵地へ詰めかけた虎党のボルテージはこの日最高潮に達する。
迎える打者は中野拓夢。ここでもフルカウントとなってからの7球目、内角直球を自信を持って見送った。しかし、小林球審はストライクの判定で見逃し三振、ゲームセットとなってしまった。
中野は首をかしげながら納得いかない表情をあらわにし、その後も打席で10秒以上打席に立ちつくしたままだった。
試合後、阪神・藤川球児監督も怒りを隠すことはなかった。
「最後（9回）の先頭打者・渡辺諒のところで井上監督に（球審が）抗議されて。ストライクボールで抗議するのは禁止なんですけど、それがあった中での最後の中野の1球だったので。正直、納得いかないですね。それだったら自分たちも抗議しにいきますよ。審判の方はリスペクトしますけど、らしくないです」
中野へのあの1球は、「普通ではボールゾーンだと思います」と断言したという虎の指揮官。それでも我慢した理由をこのように語った。
「だけど、その前（井上監督の抗議）で（球審にも）感情が入ってしまったようにタイガース側からは見えてしまう。抗議がなければそうじゃなかったんですけど」
球審への抗議をしたことが、最後の判定を左右したのではないか。そんな意図を冷静な声の中に滲ませたという。
藤川監督は「改善の余地があるように見えてしまう」と語り、さらに中野は無言で球場を後にした。
まだ首位をキープしているが、4位まで1ゲーム差以内にひしめいている。今回は阪神にとって後味の悪い試合となった。
記事／まるスポ編集部
