
ユーフォリアの「ONE TAP SPORTS」とオリジナルダッシュボードで強化を加速
国際大会でのメダル獲得を目指す車いすバスケットボール女子日本代表チームは、アスリートのコンディション管理をサポートする『ONE TAP SPORTS(ワンタップスポーツ)』と、チーム専用のオリジナルダッシュボードを導入した。これにより、分散した活動拠点での選手のコンディションやトレーニング状況を科学的に可視化し、国際大会でのメダル獲得に向けた強化体制を本格的に始動する。
「見えない」課題をテクノロジーで解決へ
車いすバスケットボール女子日本代表は、代表合宿と所属チームでの活動を並行する体制が一般的。そのため代表スタッフが選手の日常的なコンディションやトレーニング状況を正確に把握することは困難だった。
さらに、パラスポーツ特有の複雑な情報管理も課題の一つ。選手個々の障がいの内容や程度、病歴、服用薬などを考慮した極めて個別性の高いコンディション調整が求められる。活動場所が分散する中でこれらの情報が不透明になることは選手の強化を妨げるだけでなく、外傷・障害のリスクを高める懸念もあった。

ONE TAP SPORTS(ワンタップスポーツ)について
アスリートのコンディションやトレーニングデータを一元管理するデータマネジメントシステム。食事メニューやケガの状態なども含めて多角的に分析し、指導者が適切なアドバイスを行うことを可能にする。
現在、ラグビー日本代表を含む26競技の日本代表チーム、国内外71競技、1,700チーム以上に導入されている。(2024年6月時点)
科学的データで選手のパフォーマンスを最大化
今回のシステム導入により、選手は日々のコンディションやトレーニング内容を『ONE TAP SPORTS』に入力。さらに、練習中に装着するウエアラブルセンサー「Polar H10」から取得される心拍数データを連携させ、主観的データと客観的データを統合的に管理する体制が実現した。
これにより、選手個々の運動負荷をACWR(急性:慢性仕事量比)などの指標を用いて可視化。FF(Fitness-Fatigue)理論に基づいたグラフも活用し、疲労度を客観的に把握することが可能となる。科学的根拠に基づくコンディション管理によって、外傷・障害のリスクを低減しパフォーマンスを最大限に引き上げる狙いだ。
また、選手自身もダッシュボードで自身のデータを振り返ることができ、セルフコーチングの意識を醸成。自らの身体と向き合うことでコンディション維持に対する意識向上も期待される。
チーム運営の効率化と未来への展望
『ONE TAP SPORTS』は、選手のコンディションデータやフィジカル測定データ、さらには過去のケガやアレルギー情報まで一元管理。戦術確認のための動画共有など、チーム運営に必要な情報を集約することで業務効率化にも貢献する。
ユーフォリアはシステム提供に留まらず、現場と密に連携して運用をサポートし継続的な改善を実施。橘 香織ハイパフォーマンスディレクターは、「これまで把握しきれなかった所属チームでの活動期間も含め、選手のコンディションを詳細に把握できる体制が整った」と述べ、科学的アプローチによる強化への期待感を表明した。
記事/まるスポ編集部