名門・日本体育大学では不祥事が連鎖(写真はイメージ)
日本スポーツ界の象徴、日本体育大学が再び「不祥事」という名の激震に襲われている。男子バレーボール部による組織的な無線サイン盗みと、全試合没収という前代未聞の重罰。さらに過去にはレスリング部員やラグビー部員によるわいせつ・薬物事件も。なぜ、この名門校では不祥事が連鎖し、止まらないのか。
「不適切行為」の真相が語られない理由――スポーツ界に広がる“具体なき謝罪”の正体
勝利至上主義が生んだ「歪んだ執念」
今回のバレー部の不正は、極めて巧妙なものだった。観客席から無線機で相手の情報を抜き取り、ベンチへ送る。これは情報収集ではなくスパイ行為に等しいだろう。日体大バレー部には、過去にも大会の組み合わせを操作しようとした不正工作の歴史がある。
その根底にあるのは「勝てば官軍、負ければ賊軍」という歪んだ勝利至上主義なのではないだろうか。名門の看板を背負う重圧が、いつしか、勝つためなら手段を選ばないという組織的な免罪符にすり替わっている懸念がある。
「個人」と「組織」の規律崩壊
不祥事の刃は、競技の枠をも超えている。2025年12月に横浜市内で下半身を露出したとしてレスリング部員が逮捕された公然わいせつ事件や、2018年に起きたアメフト部による悪質タックル問題、そしてラグビー部では過去に大麻所持や、ガスバーナーを背後から当てる等のいじめによる傷害事件など。
これらは学生個人の倫理観の欠如に留まらず、寮生活や部活動を通じた指導体制が機能不全に陥っていることを露呈している。かつて称賛された日体大の規律は、今や内向きの閉鎖性へと変質し、外部の目から遮断された空間で管理体制が形骸化しているのだろう。
隠蔽と説明責任のジレンマ
近年の同大の対応で目立つのは、処分の事実は公表するものの、具体的な中身を伏せる「具体なき謝罪」だ。アスリートの将来を守るという名目は一見正当だが、実態が不透明なままでは組織防衛のための隠蔽との批判を免れない。
スポーツは、相手への敬意と公正なルールの下に成り立つ。その根幹を揺るがし続ける日体大。失った信頼を取り戻すには、メダルの数や勝利の記録ではなく、組織のDNAそのものを解体・再構築する程の変革が不可欠なのではないだろうか。
記事/おかだみゆき
編集/まるスポ編集部
