
2025年7月27日、さいたまスーパーアリーナが熱狂に包まれた夜。『超RIZIN.4』は4万3965人を動員し、スタジアムバージョンで開催された。この日のメインイベントは、日本格闘技界の象徴的存在・朝倉未来と、柔術の鬼才クレベル・コイケのリマッチ。4年ぶりの再戦は、単なる勝敗では語りきれない、深い人間ドラマと格闘哲学が交錯する戦いとなった。
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2021年からの因縁──朝倉の“リベンジロード”

この試合は、2021年6月に行われた初対決の再戦。あのとき朝倉は、クレベルの三角絞めに沈んだ。YouTubeでも絶大な人気を誇る朝倉にとって、その敗北は屈辱だった。以降、彼はRIZINフェザー級の頂点を見据えながら、慎重かつ戦略的にキャリアを進めてきた。
『RIZIN男祭り』で証明した“勝ち切る力”―朝倉未来、静かに燃え上がる覚悟
一度は引退を宣言するも、2024年の東京ドーム大会で元王者・鈴木千裕に勝利し、劇的な“復活”を遂げる。そして今回、前回王者のクレベルと再び相対する舞台に立った。
組み合い、立ち上がる──試合内容の本質

試合は、グラウンドに引き込もうとするクレベルと、スタンドでの打撃戦に持ち込みたい朝倉の攻防が続いた。だが今回は、かつてのような“捕まる未来”ではなかった。
徹底的な研究と鍛錬が、朝倉の対応力を一段引き上げていた。クレベルのタックル、引き込み、三角絞めへの流れ──そのすべてに備え、崩れることはなかった。特に「右足からしか三角に入らない」というパターンを見抜き、ヒジとヒザで的確に封じ込めた。