【カヌースプリント 藤嶋大規】子供たちの前でカヌーを漕いで終わりたい(前編)

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男子カヤック、28年ぶり悲願のオリンピック出場

――2011年にロンドンオリンピック アジア最終予選会を兼ねたアジア選手権に松下桃太郎選手とカヤックペアで出場し見事優勝。男子カヤックとして28年ぶりに2012年ロンドンオリンピック出場権を獲得しましたね。

藤嶋:予選の時、相方の桃太郎さんがギックリ腰になったり色々とハプニングはありましたが、自信を持ってレースに臨むことができました。

それまで男子カヤックは本当に海外大会で勝てなかった。アジアで勝てたことでみんなが喜んでくれたし、夢だったオリンピックに出場することができて本当に嬉しかったですね。

――2012年のロンドンオリンピックは松下桃太郎選手とカヤックペアで出場。2014年仁川アジア大会も松下選手と組みましたね。

藤嶋:ロンドンオリンピックの後、気持ちを切り替え2016年のリオを目指しました。2014年の仁川アジア大会はK-2の200 mで2連覇がかかっていました。そこでプレッシャーに負けずに優勝することができた。

ただリオオリンピック予選は全選手負けてしまいました。試合で使用するはずのカヌー艇が届かなかったのです。日本チームだけでなく他の国のカヌー艇も。

それで「アジア大陸予選は行わない」と1度決定。しかし翌日「やっぱり開催する」と前日の発表内容が変わった。とにかく日々状況が変化しました。

――参加した選手は集中力が途切れますよね。

藤嶋:自分たちも、その状況に振り回されメンタルが落ちました。でも条件は各チーム同じ、結果として自分たちが弱かっただけです。

――2020年は自国開催の東京オリンピックです。「今度こそ」と気持ちの切り替えるができましたか?

藤嶋:さすがにすぐ切り替えられなかった。自分では「リオに出場して、いよいよ東京」とプランを思い描いていました。ですからリオに出場できなかったのがメチャクチャ悔しかった。

――ロンドンからリオへの気持ちの切り替えと同じようにはいかなったと。

藤嶋:そうですね。ただ競技人生を辞めようとは思いませんでした。「少しだけ時間が必要だ」と考え、気持ちを整理しました。

冬に入り競技がオフシーズンだったこともあり、想像以上に早く切り替えができた。やっぱり「東京オリンピック」が大きかったんだと思います。自国開催は生きている中で奇跡ともいうべきタイミング。これが他国での開催だったら選手生活を続けていたかどうか分からない。

リオ前、長男が1歳か2歳。ということは東京オリンピックの時に6歳です。運動会で頑張っている姿を見せられるパパはいても、オリンピックで頑張っている姿を見せられるパパはなかなかいない。子供の存在も大きかったですね。
<後編に続く>

<インフォメーション>
2023年1月28日(土)第3回オンラインエルゴ選手権大会が開催されます。詳細はカヌーホームWEBサイトをご確認ください。

取材・文・編集/大楽聡詞
写真提供/藤嶋大規

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