リオデジャネイロ五輪で日本人初の銅メダルを獲得した教え子、羽根田卓也選手と(2016年撮影/本田氏提供)
■「やめないこと」が最大の才能
――長年指導に携わってきた本田さんから見て、カヌースラロームという競技の最大の魅力は何でしょうか?
本田:「やればやるほど、自分の技術が上達していく」という感覚をダイレクトに得られる点ですね。激流を乗りこなし、思い通りに艇を操れるようになる喜びは、何物にも代えがたい。
ですが、今の日本の環境において非常にもったいないと感じるのは、カヌースプリントは特にですが、才能ある若者が「すぐに結果が出ないから」「勝てないから」と、その醍醐味を知る前に競技を諦めてしまうことです。
他の競技もそうでしょうが、カヌーも長く続けるほどに奥深さが増すスポーツなのですが、途中でやめてしまう選手が非常に多いのが現状です。
カヌースラローム・加藤成選手――気分転換はジャズ鑑賞、夢はカヌー競技アジア人初オリンピック金メダリスト!
――カヌー先進国であるヨーロッパと比べると、その違いは顕著ですか?
本田:かつてジュニアのナショナルチームのコーチであった際、海外のコーチたちから「日本ほど学生のカヌー人口が多い国はない」と驚かれたことがあります。
実際、日本には中高生でカヌーに打ち込む子がたくさんいます。しかし、そこからの「継続」が非常に難しい。
――具体的に、どのような課題があるのでしょうか。
本田:愛知県を例に出すと、中学校にはカヌー部があり、1学年30人ほど、全体で100人近くが漕いでいます。しかし、高校まで続ける子は1割いるかいないか。
さらに大学、社会人と進むにつれて、その数は激減します。ヨーロッパでは、トップになれなくても「カヌーが好きだから」という理由で生涯スポーツとして楽しむ文化が根付いています。
日本にも、一番になれなくても「代表を目指して続けよう」と思える環境や、「地元で応援し続けられる場所」をもっと作っていきたい。それが私の今の課題でもあります。
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