地上波中継が途絶えたWBCのNetflix独占配信を巡り、文科相が主催者へ配慮を要請(写真はイメージ)
3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)がNetflixによる独占配信となり、地上波での中継が一切行われなかった問題で、政府が本格的な議論に乗り出した。
松本洋平文部科学相は24日の閣議後記者会見で、主催者側に対し「より多くの国民が大会を見ることができるよう、今後の配慮をお願いした」と表明した。さらに、総務省と合同で「スポーツ中継に関する有識者会議」を設置することを明らかにした。
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ビジネスの論理とファンの切実な声
今回の独占配信の背景には、スポーツ放映権料の急激な高騰がある。前回のWBCでは民放が約30億円を支払ったとされるが、今回Netflixが支払った額は150億円規模にのぼると見られ、広告収入を柱とする地上波テレビ局が対抗するのは極めて困難な状況であった。
この事態に対し、SNS上では「地上波で見られないことは、そのスポーツが世間に届かないことと同義だ」と、競技の公共性が失われることを危惧する声が相次いだ。また「野球は大好きなのに、独占配信への抵抗感から一度も観なかった。結果としてニュースすら追わなくなった」という熱量の低下を嘆く声や、「ネット環境がない高齢者や子供たちが置き去りにされている」「次世代のファンを育てる機会を150億円で売ったのか」といった、競技の未来を案じる投稿が溢れた。
議論の焦点は「ユニバーサルアクセス権」
有識者会議では、イギリスなどで導入されている「ユニバーサルアクセス権」が議論の柱となる見通しだ。これは、国民の関心が高いスポーツイベントについて、有料放送だけでなく無料放送でも視聴できる機会を確保する権利を指す。
放映権を最高値で売却するという短期的なビジネス利益か、あるいは視聴機会を広く確保することでファン層を維持・育成するという文化的な視点か。日本のスポーツ中継は今、その在り方を問われる大きな転換点を迎えている。
記事/まるスポ編集部
